RTB Houseを紐解く!特徴から管理画面の見方まで初心者にも分かりやすく解説

インターネット広告

RTB Houseは、ディープラーニングを活用したダイナミックリターゲティング広告を配信できるサービスです。どのような特徴があるのか、比較されがちなCriteo広告との違い、管理画面の操作などを解説しています。

RTB Houseとは

RTB Houseはディープラーニング(深層学習)を実装したDSP(Demand-Side Platform)広告配信サービスです。2012年にポーランドで創業し、日本では2017年7月から提供開始されています。ディープラーニングを活用した精度の高いシステムにより、ユーザーの購買意欲に沿った広告を配信できるため、世界44か国以上で採用されています。

RTB HouseとCriteoの違い

RTB HouseはCriteoとよく比較されています。
両プラットフォームとも同じくダイナミックリターゲティング広告であり、複雑で性能の高い独自のエンジンを使用して広告配信を行います。広告フォーマットの種類などそれぞれ違いはありますが、大きく異なる点は、RTB Houseはディープラーニング、Criteoはマシンラーニングであることです。次項ではそれぞれの学習について説明します。

ディープラーニング(深層学習)とマシンラーニング(機械学習)の違い

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ディープラーニング(深層学習)とマシンラーニング(機械学習)は、どちらもデータから学習する人工知能(AI)を用いた手法ですが、具体的には次のような違いがあります。

マシンラーニングは、データから特徴を抽出し、その特徴からパターンを見つけ出すことで学習します。ただし、人間が事前に特徴を設計する必要があります。Criteoのマシンラーニングは、膨大な広告データから人間が指定したルールに基づく特徴を抽出し、最適な広告配信を判断します。

一方、ディープラーニングは人間の脳の働きを模したニューラルネットワークという仕組みをベースとし、入力データから自動的に特徴を抽出できます。RTB houseのディープラーニングは、ユーザーの行動データから自動で特徴を見つけ出し、より詳細な嗜好を捉えた上で最適な広告を配信できます。

機械学習によりディープラーニングの方がルールを多層化しているため、より正しい結果を導くことができるとされています。
Criteoの機械学習でコンバージョンしないと判断されたユーザーでも、RTB Houseのディープラーニングでは獲得できる可能性があります。そのことからRTB HouseとCritoeの活用方法は、RTB HouseとCriteoの並走とよく言われます。両者を使用することで全体的なコンバージョン獲得率が高まる可能性があるので、並行して実施することをおすすめします。

RTB Houseの主な特徴

この項では、RTB Houseの特徴を3つ挙げます。

ディープラーニングを活用したアルゴリズム

RTB Houseはディープラーニングを用いた複雑なアルゴリズムによって、ユーザーにとって適切なタイミングで、最適な広告を配信できます。例えば、まだニーズもはっきりしておらず特定の商品へ購入の意思も持っていない層(潜在層)から、具体的なニーズがでてきて購入の意思も持つようになる層(顕在層)へのユーザーの変化も読み取ることが可能です。多くの広告媒体が機械学習を用いる中、ディープラーニングは、各ファネルに適切な広告を配信し訴求できるエンジンと言えます。

選択できる課金モデル

RTB Houseの課金モデルは、大きく分けて5つです。ディスプレイ広告は、成果報酬型課金(CPS/CPA)・クリック課金(ダイナミックCPC)です。動画広告は、インプレッション課金(CPM)・完全視聴課金(CPCV)です。それぞれの課金方式のメリット・デメリットをご説明します。

課金方式メリットデメリット
CPA/CPS課金・保証型なので目標を上振れた場合は、超過分を請求されない
・リスクを抑えて運用ができる
・配信から課金発生までの時間がかかるため、配信ボリュームが出にくい
・機械の学習期間が長くなる
・配信をストップしても、CVに応じて課金が発生してしまう
ダイナミックCPC課金・保証モデルよりも配信ボリュームが出やすい
・目標を大きく下ぶれることも少ない
・配信をストップすれば課金が停止する
・クリックベースで課金されるが、自動入札のため、目標CPA/CPSにあわせて単価が変動する
CPM/CPCV課金・最後まで完全視聴された配信のみが請求対象
・保証型のため、リスクが抑えられる
・配信から課金発生までの時間がかかるため、配信ボリュームが出にくい
・機械の学習期間が長くなる

ダイナミックリターゲティング広告によるアプローチ

ダイナミックリターゲティング広告は、その名の通り、バナー画像が自動で切り替わる、マウスオーバーで画像が拡大するなど、動的な要素が豊富に取り入れられた広告手法です。
データフィード(商品情報などの詳細データ)を事前に設定することで、ユーザーの閲覧履歴や消費行動に基づき、効果的なバナー広告を自動生成し配信します。
この方法では、同じ広告が複数回表示されても、デバイスに合わせたレイアウト変更や類似商品の提示など、表示方法が変わるため、ユーザーの興味を持続させ飽きさせません。
RTB Houseはこのダイナミックリターゲティング広告を駆使し、新たなユーザー獲得に成功しています。

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RTB Houseの主な配信面

RTB Houseは、Googleや国内外主要なWebアプリを配信面としています。一部をご紹介します。
・Google
・東洋経済
・docomo
・Ameda
・tenki.jp
・cookpad

RTB Houseは基本的にsafariへの配信をおこなっていません。次の項ではITPによる影響をご説明します。

ITPによる影響

ITP(Intelligent Tracking Prevention)とは、Apple社が提供するSafariブラウザにおいて、ウェブサイトを訪問したユーザーのcookie情報(スマホやPCの中に保存される情報)を無効化したり、制限するトラッキング制御機能のことです。ITPが機能することで、広告媒体にとっては、十分なユーザーの情報を入手できずターゲティングが不十分になります。しかし、RTB Houseはsafariへの配信をほとんどおこなっていないので、影響は受けにくいとされています。注意点としては、自社サイトの顧客がsafari利用率の多い場合は、そもそもRTB Houseが適していると言えないので、事前に自社サイトの使用OS比率を確認しておく必要があります。

配信開始までの流れ

RTB Houseを始めるための基本的な流れをこの項では説明します。審査の目安なども参考にしてください。

掲載可否の審査

申し込み前に審査があります。申し込みにあたって目安となる審査の基準があるので注意が必要です。
・月間UU数(ユニークユーザー数)は30万人以上
・サイト内の全ての商品商材が対象(この商品だけ掲載しないなどは基本的にNG)
・最低出稿金額は50万円から
・CPA/ROAS目標を他の配信中の媒体と揃えることができるか
・要件を満たしても審査上NGになる業種がある

掲載可掲載不可
・ECサイト
・旅行
・価格比較
・人材
・不動産
・通信
・健康食品/薬
・タバコ/アルコール
・ギャンブル
・アダルト/デーティングサイト
・電子音楽/動画系

申し込み・アカウント開設

審査に通過したら申し込みになります。配信開始までポーランド本社とのやり取りが発生するため、時差8時間を考慮したスケジュールを組む必要があります。申し込みが済んだらアカウント開設に進みます。

データフィード・タグの実装

RTB Houseが用意したフォーマットで、データフィードを作成(商品説明・詳細情報)します。データフィードに十分な情報を用意することで、バナーに付加情報を与え、より最適な広告表示ができるので、重要な準備といえます。また、タグの実装もあわせておこない、配信に向けてさらに準備を整えます。

キャンペーンを設定

キャンペーン設定は媒体側でおこないます。データフィードのどのカラムを広告に使用するか、キャンペーン名や開始日・終了日等、必要な情報をRTB Houseにメールで伝えます。

配信開始

最終確認が問題なければ、配信開始をRTB Houseに依頼し、配信が開始となります。

RTB Houseの管理画面の見方

配信開始後のレポートは管理画面で確認することができます。RTB Houseの構成は、キャンペーン配下に広告が紐づきます。ここでは管理画面の見方を説明していきます。

ダッシュボード

基本はダッシュボードで各数値を確認することができます。まず、①でアカウントを選択し、②の「Dashboard」を表示します。赤点線枠の各プルダウンで期間を絞ったり、日別や週ごとで数値の確認もおこなうことができます。最後に「SHOW」をクリックし表示します。

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アカウント内の数値が合算で表示されるので、キャンペーンごとに確認したいときは、「Group by」のプルダウンで、「SubCampaign」を選択すればキャンペーンごとに数値の確認が可能です。

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クリエイティブ単位のレポート

キャンぺーン単位より詳細なクリエイティブ単位やデバイス単位で数値を確認したい際は、「Reports」をクリックし、「Creative」を選択すると、クリエイティブ単位で確認ができます。

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さらに、クリエイティブの中身を確認するためには、確認したい広告の「Hash」をクリックすると、プレビュー画像が表示されます。

広告プレビュー画面

以上が管理画面で数値を確認する基本的な操作です。

代理店を活用した運用をおすすめします

RTB Houseの基本と独自性について解説しました。
すでに他の媒体で広告配信していて成果が停滞してしまっている場合など、RTB Houseという新たな切り口で、より多くの顧客の獲得やユーザーへのリーチに繋げられるかもしれません。是非この記事をきっかけにRTB Houseを考えてみてはいかがでしょうか。

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筆者紹介 オクノホソミチ
広告運用サポート業務に従事し5年目。Google・Yahooをはじめ、多くの広告媒体を入稿してきた経験を活かし、分かりやすい記事をお届けできるよう日々奮闘中。

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