いまさら聞けないWeb広告(ネット広告)の種類や仕組み、リスクを解説

インターネット広告

人々の消費活動がオンライン中心となりつつある現代社会では、Web広告(ネット広告)は、企業のマーケティング活動に欠かせない重要な要素です。しかし、一口に「Web広告」と言っても、その世界は広く、様々な種類や形式、リスクが存在します。

この記事では、広告主が押さえておくべき主要な広告タイプや課金方式、そしてWeb広告が持つリスクまで、初心者にも分かりやすく、幅広く解説していきます。

Web広告(ネット広告)とは

Web広告とは、インターネットを経由してWebサイトやアプリに出稿(配信)できる広告です。インターネット広告、オンライン広告とも呼ばれ、GoogleやYahoo!などの検索結果に表示されるリスティング広告やバナー広告、動画広告、SNS広告などがWeb広告に該当します。

拡大の一途をたどるWeb広告の市場

Web広告の市場は広がり続けています。電通が2023年に発表した「2022年 日本の広告費」によると、2022年にインターネット広告費(Web広告費)は3兆円を超え、マスコミ4媒体(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌)を合わせた広告費(2兆3,985億円)を上回っています。インターネット広告費がマスコミ4媒体を初めて上回った2021年から更に差を広げており、今後も益々需要が高まる見込みです(※)。
※電通ニュースリリース「2022年 日本の広告費

2022年の総広告費71,021億円の内訳を示した円グラフ。インターネット広告が30,912億円で最も大きな割合を占め、次いでテレビが18,019億円、新聞が3,697億円、雑誌が1,140億円、ラジオが1,129億円となっており、マスコミ4媒体の合計は23,985億円です。出典は「電通2022年 日本の広告費より」と記されています。


また、リスティング広告を始めとした運用型広告の費用は2兆円を超え、インターネット広告媒体費の85.4%を占めています。動画広告の需要もインストリーム広告を中心に伸びており、媒体費用は前年比115.4%の伸び率です。

この変化は、消費者のメディア利用がデジタル中心に移行し、広告主にとってWeb広告が避けられない主要なチャネルとなっていることを意味しています。

Web広告(ネット広告)の出稿形態は大きく分けて2つ

Web広告は、出稿形態により「予約型広告(純広告)」と「運用型広告」の大きく2つに分かれます。

予約型広告(純広告)

予約型広告(純広告)は、事前に広告枠を予約し、一定期間、決まった掲載位置に配信されます。大手ニュースサイトのトップページに出るバナー広告や、リッチメディアを使った広告などが、予約型広告で配信できます。広範囲のユーザーへ一斉に配信でき、主にブランド認知やキャンペーンの告知に適しています。最低出稿価格が決められているものが多いのも予約型広告の特徴です。

予約型広告(純広告)については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

運用型広告

運用型広告は、広告枠を決めず、リアルタイムでデータを分析し、最適なタイミングと場所に広告を配信します。広告はクリックや商品購入など、具体的な成果を目標に最適化され、費用も成果に応じて発生します。細かいターゲティングができるため、特定のユーザー層を狙って効果的に広告を配信できます。

Web広告のメリット

Web広告には、マスコミ4媒体やその他のオフライン広告(チラシ、看板など)と比較して次のようなメリットがあります。

細かいターゲティングができる

Web広告は、ユーザーのデモグラフィック情報(年齢、性別、地域など)、オンラインでの行動履歴(サイト訪問、購買履歴)、興味・関心などに基づいて広告を表示できます。新聞や雑誌であればその読者に訴求することになりますが、細分化は難しく、一般的なオーディエンスに訴求するしかありません。

また、自社のWebサイトを一度訪れたユーザーを追跡し、広告を表示することもできます(リターゲティング)。離脱したユーザーを再度Webサイトへ引き戻し、コンバージョンへ導くことができるのは、オフラインにはない大きなメリットです。

効果測定ができる

Web広告では、クリック数、インプレッション数、コンバージョン数、コンバージョン率など、様々な指標で効果を測定できます。広告主は、キャンペーンの効果を確認し、ターゲティングを調整する、広告文を見直す、予算を再配分する、といった対応を取ることが可能です。

広告がどれだけ売上に貢献したのか、配信が効果的な時間帯はいつか、どのターゲット層が最も反応したかなど、測定データを基にして、より効果的な広告戦略を打ち出すことができるのです。

少額から掲載できる

運用型広告であれば、比較的少額の予算からでも広告を掲載できます。例えば、Google広告は1日1000円からでも広告を出稿できるので、広告に割ける予算が限られている場合でも、気軽に始められます。

広告の効果が良ければ予算を増やして配信を強化することもできるし、逆に効果が低ければ予算を減らしたり、広告を停止したりすることも可能です。状況に合わせて出費を柔軟に調整できるのも、Web広告の魅力です。

押さえておきたいWeb広告(ネット広告)の種類12選

ここでは、初心者が押さえておきたいWeb広告の種類12選をご紹介します。

リスティング広告(検索連動型広告)

リスティング広告は「検索連動型広告」とも呼ばれ、ユーザーが検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に、キーワードに関連する広告を検索結果の上部または下部に表示する形式の広告です。代表的なものに、Google広告Yahoo!の検索広告があります。費用はユーザーが広告をクリックした時に発生し(クリック型課金)、広告の掲載順位は全てオークションで決まります。

メリット

  • ユーザーが情報を今まさに探している、関心が高くなっているタイミングに、広告を表示させることができる。
  • 広告主の支払いは、広告がクリックされたときのみ発生するため、無駄な費用がかからず、費用対効果が高い。
  • テキストの広告文を用意するだけなので、手軽に始めやすい。

デメリット

  • 情報を探していない潜在層には届かないので、アプローチできるターゲット層は限られている。
  • テキストのみで構成されるので、ビジュアルで訴求することは難しい。
  • 人気のキーワードは競争が激しいため、クリック単価が高騰しやすい。効果的な運用のためには、定期的なキーワードの見直しや入札額の調整が必要。

リスティング広告については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

ディスプレイ広告

ディスプレイ広告は、Webサイトやアプリの広告枠に配信される広告で、バナー広告や動画など、視覚的に訴求できるのが特徴です。代表的なものに、GoogleのディスプレイネットワークGDN)や、Yahoo!ディスプレイ広告YDA)があります。商品やブランドの認知度を高めたり、想起させたりする目的に向いている広告です。

メリット

  • 静止画+テキスト・動画など、Webサイトに合わせて多彩なフォーマットがあり、ビジュアルで訴求できる。
  • 1回の出稿で多数のWebサイトに広告を配信できるため、潜在層から顕在層まで広範囲のユーザーにリーチできる。
  • 年齢や性別、所在地、興味・関心など、細かいターゲティングで絞り込むことができる。

デメリット

  • ユーザーは広告を目的にWebサイトを閲覧するわけではないので、クリック率が低い傾向にある。
  • 同じ広告を何度も見させられることで、ユーザーから嫌悪感を持たれることもあり、ブラウザの設定でブロックされることもある。
  • 広告の内容とマッチしない、不適切なサイトに広告が表示されると、ブランド毀損につながる恐れもある。

ディスプレイ広告については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

リターゲティング広告

リターゲティング広告は、一度Webサイトを訪れたものの、購入や問合せに至らなかったユーザーに対して広告を表示する広告手法です。ユーザーをオンラインで追跡し、別のWebサイトを閲覧中でも広告を表示させることができます。カートに商品を入れたまま離脱したユーザーに対して購入を促したり、関連する商品を宣伝したりすることもできます。

メリット

  • Webサイトを訪問したユーザーに対してアプローチするので、購入や申し込みなどのアクションに繋がりやすく、コンバージョン率が高い。
  • 製品やブランドに対して既に関心を持ったユーザーに広告を配信するので、費用対効果が高い。

デメリット

  • 同じ広告を何度も表示し過ぎると、ユーザーに不快感(広告疲れ)を与える可能性がある。
  • 新規ユーザーの獲得や潜在層の掘り起こしには不向き。
  • 家族でデバイスを共有している場合、ターゲティングの精度が落ちる。

動画広告

動画広告は、動画を使用した広告全般を指します。動画広告には、YouTubeなどの動画プラットフォーム上でコンテンツの前後や合間に流れるインストリーム広告と、Webサイトやアプリの広告枠に配信されるアウトストリーム広告などがあります。

5Gなどモバイルで大容量の通信を手軽に楽しめる環境が整ったことや、コネクテッドTVの普及により、近年の動画広告市場は目覚ましい成長を遂げています。

メリット

  • 動画はユーザーの注意を引きやすく、メッセージが記憶に残りやすい。視覚的要素と音声を使って多くの情報を伝えることができる。
  • 時間軸の物語(ストーリー)を用いて製品やサービスの魅力を伝えることで、ユーザーの感情に訴えかけられる。
  • 魅力的な動画はユーザーによって共有されやすく、商品の情報が口コミで広まる効果も期待できる。

デメリット

  • 動画に魅力を感じないユーザーは、広告をスキップしてしまうことがある。
  • 魅力的で高品質な動画を制作するには、ある程度の時間と予算が必要。
  • 動画コンテンツの合間に強制再生される広告は、ユーザーにとって不快に感じることも。

動画広告については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

メール広告

メール広告は電子メールで配信される広告です。ユーザーが購読しているメールマガジンなどの中に広告枠を設ける方法と、メール全体を広告として送信する方法があります。顧客リストを活用することで、誕生日限定クーポンを配布するなど、特定のユーザーに対してメッセージを送ることもできます。

メリット

  • リストに登録された顧客の年齢や性別、興味のあるジャンルに基づいてターゲティングができる。
  • メールは他の広告手法と比較して、多くの情報を届けられる。
  • 配信した広告はメールボックスに保存されるため、配信後に時間をおいてもコンバージョンに繋がる可能性が高い。

デメリット

  • 件名で興味を引かないと、メールが開封されないこともある。
  • 大量のメールを一斉に送信すると、スパムメールと判断される恐れも。
  • メールがhtml形式の場合、メール受信者の環境によっては文字や画像が正しく表示されない場合がある。

SNS広告

SNS広告は、FacebookやX(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどソーシャルメディアのプラットフォームを通じて配信される広告です。SNSごとに利用者層や用途が異なるため、各プラットフォームに適した内容と戦略を考える必要があります。

メリット

  • ユーザーの興味、行動、地域、年齢など、細かい属性に基づいて精度の高いターゲティングが可能。
  • ユーザーがコンテンツを「いいね!」したり、共有したりすることで、広告のリーチが自然に拡大することを期待できる。
  • 10~30代はSNSの利用率が高く、若年層にリーチしやすい。

デメリット

  • SNSの利用率が低い50代以上のユーザーへはアプローチしにくい。
  • 多くの企業がSNS広告を利用しているので、その中で注目を引くには独創的なコンテンツと戦略が必要。
  • 拡散する力が強い分、ネガティブな反応も広まりやすく、炎上するリスクもある。

SNS広告については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

アフィリエイト広告

アフィリエイト広告は、商品やサービスのプロモーションを第三者(アフィリエイター)に委託し、その結果としての成果(商品購入や会員登録など)に基づいて報酬を支払う広告モデルです。広告主は、ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)と契約することで利用できます。成果地点や報酬額は広告主が任意で決められます。

メリット

  • 実際に成果が出た場合のみ支払いが発生するため、費用対効果が高い。
  • 成果報酬が発生しなくても、商品やブランドの認知度が高まる。
  • 多数のアフィリエイターが宣伝することで、様々な市場やユーザー層にリーチできる。

デメリット

  • 成果に関係なく、ASP利用に月額費用など固定費が発生する。
  • 掲載先は選べず、宣伝してくれるアフィリエイターがいないと広告が掲載されない。
  • アフィリエイターが不適切な方法で商品を宣伝すると、商品やブランドのイメージダウンにつながる可能性がある。

アフィリエイト広告については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

リワード広告

リワード広告はアフィリエイト広告の一種で、広告動画を最後まで見る、あるいはアプリをダウンロードするなど、特定のアクションを完了することで、ユーザーが何らかの特典(リワード)を受け取れるタイプの広告です。主にモバイルアプリやゲームなどでよく利用され、報酬にはポイントやアプリ内で使えるコインなどが用意されています。

メリット

  • 報酬を得るためにユーザーが積極的にアクションを取るため、他の広告形式に比べて高いコンバージョン率を期待できる。
  • ユーザーにポジティブな体験を提供することで、ブランドに対する好印象を持ってもらえる可能性がある。

デメリット

  • 報酬目当てで広告を視聴するユーザーが多いため、報酬が適切でない場合、ユーザーが広告に関心を持たなかったり、短期間で離れたりする可能性がある。
  • 動画広告の場合は動画の制作コストがかかる。

データフィード広告

データフィード広告は、商品やサービスの情報を含むリスト(データフィード)を使用して自動的に広告を生成し、配信するタイプの広告です。主にEC業界で利用され、Googleショッピング広告ダイナミックリターゲティング広告などでよく見られます。データフィードには商品名、価格、画像、在庫状況などの情報が含まれており、リアルタイムで広告に反映されるのが特徴です。

メリット

  • 大量の商品情報を一括で管理し、ユーザーの興味や行動履歴に基づいて、効率的に広告を生成・配信することが可能。
  • 在庫状況やセール価格などの最新情報をリアルタイムに広告へ反映できる。
  • 広告の作成と更新が自動化されるため、手動での作業を大幅に削減できる。

デメリット

  • 最初にデータフィードを設定する際に、技術的な知識を求められる場合がある。
  • データフィードの情報が間違っていたり古かったりすると、誤った広告を生成してしまう。
  • データフィードを常に最新に保つために、定期的な情報の更新が必要。

データフィード広告については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

ネイティブ広告

ネイティブ広告は、ユーザーが閲覧しているウェブサイトやアプリのコンテンツに溶け込むフォーマットで配信されるタイプの広告です。インフィード広告レコメンドウィジェットなどが代表的です。従来の広告と比べて目立ちにくく、コンテンツの一部として受け入れられやすいのが特徴です。

メリット

  • ポップアップや過剰なバナー広告と違い、広告がコンテンツに馴染んでいるため、ユーザーの体験を妨げず広告への抵抗感が少ない。
  • コンテンツとユーザーの関心をマッチさせることで、クリック率が高まる。

デメリット

  • 掲載先のメディアに馴染み、質の高い広告を制作するには時間と手間がかかる。
  • 掲載先と広告の内容に関連性が無いと、ユーザーに不快感を与え、クリックしてもらえない。

タイアップ広告・記事広告

タイアップ広告は、商品やサービスを紹介するために広告主とメディアが協力して作成するコンテンツを指します。記事形式で作成されるものは記事広告と呼ばれ、ニュースサイトやブログなどでよく見られます。通常の広告よりも情報量が多く、読者に有益な知識やエンターテインメントを提供できるのが特徴です。

メリット

  • 信頼されているメディアに掲載されることで、ブランドへの信頼が増す。
  • 記事の形で提供される情報は、一時的な広告よりも読者の記憶に長く残りやすい。
  • 情報提供や読み物の形を取りつつ、読者に対して自然な形でブランドメッセージを伝えることができる。

デメリット

  • 質の高い記事を制作するには、専門的なリソースと時間が必要で、コストもかかる。
  • 直接的な販売促進よりもブランド認知やイメージ構築に重点を置くため、短期間での効果測定が難しい。
  • 広告であることを明確にしないと、読者の誤解を招き、「ステルスマーケティング」とみなされる場合がある。

タイアップ広告・記事広告については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

リッチメディア広告

リッチメディア広告は、静止画像やテキストだけでなく、動画、音声、クリック可能な要素などを組み合わせてユーザーの参加を促すインタラクティブな広告形式です。主にYahoo!などのポータルサイト、ニュースサイトなどのトップページで使用されています。

メリット

  • 動画などインパクトのある視覚的要素は、ユーザーの記憶に残りやすく、ブランド認知度を高める。
  • インタラクティブな(=相互に作用する)広告はユーザーに能動的な参加を促し、クリックしてもらいやすい。

デメリット

  • 各メディアで純広告として提供されるため、最低出稿価格が高額なものが多い。
  • リッチメディア広告の制作には時間とコストがかかる。
  • データ回線の状況が悪かったり、ユーザーの持つデバイスが最新でなかったりすると、広告が正しく表示されない場合がある。

アドネットワークとは

アドネットワークは、インターネット上の広告配信の仲介役を果たすシステムの総称です。広告を出したい企業(広告主)と広告を掲載したいWebサイトやアプリ(パブリッシャー、メディア)をつなぎ、適切な場所に適切な広告が表示される仕組みになっています。先述したGDN(Googleディスプレイネットワーク)やYDA(Yahoo!広告 ディスプレイ広告)も、アドネットワークを利用した広告配信サービスの1つです。

広告主は、アドネットワークに広告内容や予算、ターゲットとなるユーザー層などの情報を提供します。アドネットワークはこの情報をもとに、適切なWebサイトやアプリを選び出し、広告を配信します。この時、ユーザーの属性や興味、行動履歴などを分析して、最も関連性の高い広告を表示する仕組みです。

広告がターゲットとなるユーザーへ効果的に届けられる、Web広告の配信プロセスをフローチャートで視覚的に表しています。「広告主」が複数の「広告」を提供し、「アドネットワーク」を通じて適切な「Webメディア」に配信されます。その後、異なるWebメディア上で表示された広告は、各々の「ユーザー」に到達します。

アドネットワークの登場によって、広告出稿のプロセスは大幅に簡略化されました。それまでは、広告主は1つ1つのWebサイトと個別に契約を結ぶ必要があり、パブリッシャーも自分のサイトに合った広告主を探し出し、交渉する必要がありました。

アドネットワーク登場以降、広告主は、ターゲティングや予算を決めておくだけで、様々な媒体へ効率よく広告を出稿することができ、潜在的なユーザーにリーチ出来るようになったのです。

Web広告の課金方式8選

新聞や雑誌に広告を出稿する場合、費用は広告枠ごとに決められていますが、Web広告の課金モデルは、広告媒体や広告メニュー、測定できるユーザーのアクションによって幅広く変わります。この記事では、代表的な課金方法をいくつかご紹介します。

クリック課金(CPC)

クリック課金(CPC: Cost Per Click)は、広告がクリックされるたびに費用が発生する課金方式です。広告が表示されただけでは費用はかかりません。Webサイトへのトラフィック増加を目指すキャンペーンや、登録や購入など特定のアクションへの誘導を目的としたキャンペーンに適しています。

インプレッション課金(CPM)

インプレッション課金(CPM: Cost Per Mille)は、広告が1000回表示されるごとに費用が発生する課金方式です。ブランドの認知向上や、新商品の発表など、ユーザーの目に触れる機会、つまり「露出」を重視するキャンペーンに最適です。

視聴課金(CPV)

視聴課金(CPV: Cost Per View)は主に動画広告で使用される課金方式です。ユーザーがある程度の時間(通常は数秒間)その動画を視聴するか、または動画広告上の特定のアクション(クリックや拡大表示など)を行った場合に費用が発生します。

成果報酬課金(CPA)

成果報酬課金(CPA: Cost Per Action)は、ユーザーが特定のアクション(商品購入、会員登録など)を完了した場合にのみ、広告主が広告費用を支払う課金方式です。主にアフィリエイト広告で使用されています。具体的な成果(コンバージョン)を重視するキャンペーンに適しています。

エンゲージメント課金(CPE)

エンゲージメント課金(CPE: Cost Per Engagement)は、ユーザーが広告に対してインタラクティブな特定のアクション(エンゲージメント)を行ったときにのみ、費用が発生する課金方式です。エンゲージメントの内容には動画の視聴やアンケートの回答、SNSでの共有やいいね!などがあります。

配信数型課金

配信数型課金は、広告が特定の回数配信されるごとに費用が発生する課金方式です。主にメール広告などで使用されています。インプレッション課金(CPM)と似ていますが、CPMが1,000回の表示ごとに課金されるのに対し、配信数型課金は100回や500回など柔軟に設定できる場合が多いのが特徴です。

掲載期間保証型課金(CPD)

掲載期間保証型課金(CPD: Cost Per Day)は、純広告で使用される課金方式で、広告を一定期間、特定の位置に掲載することを保証するものです。広告が表示される回数やクリック数ではなく、広告が掲載される日数や時間に基づいて費用が発生します。

インプレッション保証型・クリック保証型

インプレッション保証型課金は、広告が一定数のインプレッション(表示回数)を得ることを保証する課金方式です。一定期間に広範囲のオーディエンスへリーチしたい場合に適しています。クリック保証型課金は、広告が一定数のクリックを獲得することを保証する課金方式です。Webサイトへのトラフィックを効率的に増やしたい場合に適しています。

Web広告媒体の選び方

たくさんあるWeb広告の種類や掲載媒体の中から、どの媒体に広告を出稿すべきか、悩ましいという方も多いのではないでしょうか。広告主が抑えるべきポイントはいくつかありますが、ここでは、広告の目的、予算、そして媒体の規模やターゲット層に注目してご説明します。

広告の目的から選ぶ

まず、広告キャンペーンの目的を明確に定義することから始めましょう。ブランド認知度を高めたいのか、製品やサービスの販売を促進したいのか、あるいはWebサイトへのトラフィックを増やしたいのか、目的によって最適な広告媒体は変わります。

ブランドの認知向上を目指す場合は、広範囲にリーチするSNS広告やディスプレイ広告が適しています。一方、製品の販売促進を狙う場合は、リスティング広告やターゲティングを細かく設定できるプラットフォームが有効です。

広告の予算から選ぶ

広告にどのくらいの費用を投入できるか、キャンペーンの規模と範囲を考慮することも大切です。クリック課金(CPC)や視聴課金(CPV)などは、実際のユーザーの反応に基づいて課金されるため、予算を効率的に使用できます。コストに見合った媒体を選んで最適化すれば、費用対効果の高い広告を運用できるのです。

ターゲット層と媒体の規模から選ぶ

広告を届けたいターゲット層が、普段どのようなメディアを利用しているのか、どのようなコンテンツに関心を持っているのかを理解することはとても重要です。若年層にリーチしたい場合は、InstagramやTikTokのようなプラットフォームが適しています。一方で、B2B向けのサービスの場合、facebookやLinkedInのようなプラットフォームが有効です。

また、媒体の規模(利用者数)も検討材料になります。ニッチな市場や利用者数の少ない媒体は、特定のオーディエンスに焦点を当てるには有効ですが、リーチが限られる可能性があります。製品やサービスの認知度を高めたいキャンペーンには、大規模なソーシャルメディアや主要なニュースサイトが適しています。

広告主は知っておきたいWeb広告(ネット広告)のリスク

Web広告は今や、企業のマーケティングには欠かせない要素となっていますが、インターネットならではのリスクも孕んでいます。アドネットワークを利用した運用型広告は、広告と掲載媒体の間に複雑な取引を挟んでいるので、出稿した広告が本当に表示されているのか、どこに掲載されたのか、人の目に触れているのか、広告主が全て把握することができない問題を抱えています。

ここでは、広告主として知っておきたい3つのリスク「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」について解説します。

アドフラウド(広告詐欺)

アドフラウドは、広告主から不正な方法で広告費を騙し取る行為を指します。代表的なのが「コンテンツファーム」で、広告収益を得るために、内容の薄い、品質が極めて低いコンテンツを大量に生成し、広告費用を水増し請求するWebサイトです。広告主が支払うべき本来の費用に比べて、実際の広告効果が著しく低い、または全くない状態を生み出します。

アドフラウド対策には、専用のツールを導入するなどの方法があります。

参考:日本インタラクティブ広告協会「アドフラウドに対するJIAAステートメント

ブランドセーフティ

ブランドセーフティは、商品やブランドのイメージや評判を守るために、その広告に適さないコンテンツの近くで表示されないようにすることを指します。例えば、飲酒シーンの近くで自動車の広告を表示させない、暴力的・反社会的なサイトには広告を出稿しない、などの対策があげられます。

ブランドの安全性を確保する為には、出稿先の媒体を除外、または指定するブラックリストホワイトリストの活用が有効的です。

参考:日本インタラクティブ広告協会「広告掲載先の品質確保に関するガイドライン

ビューアビリティ(広告の視認性)

ビューアビリティは、広告が実際にユーザーにどれだけ見られているかを測定する指標です。Web広告には、広告がページの下の方に配置され、ユーザーがスクロールしてたどり着かない、広告の読み込みが遅く、広告を見る前にユーザーがページから離脱してしまう、などの問題があります。広告が単に表示されただけではなく、ユーザーの目に留まったのかどうかを把握できなければ、認知になりません。

Googleのディスプレイ広告の場合、静止画は広告の少なくとも50%がユーザーの画面上に1秒以上表示された時点、動画は少なくとも50%のエリアが2秒以上表示された時点を「ビューアブル」と定義しています。

参考:Google アドマネージャー ヘルプ「視認性とアクティブ ビューの概要

まとめ:Webへの広告出稿に不安なら、専門家に相談を

ここまで、Web広告の仕組みや種類、そしてそれに伴うリスクについて解説してきました。Web広告は、その柔軟性や効果を測定できること、低コストで出稿できることなど、多くのメリットがあります。一方で、Web広告ならではの問題点も存在します。広告の戦略立案や最適な媒体の選び方、予算の配分など、効果的に運用するには複雑な判断が必要です。

自社だけで進めるのは難しい、とお悩みなら、「専門家に相談する」という選択肢もあります。Web広告のトレンドや手法を熟知した代理店であれば、広告キャンペーンの企画から運用、分析まで幅広く支援できます。

NTTドコモの広告運用コンサルティングなら、広告のプロフェッショナルが、BtoC・BtoB問わず様々な業種業態で最適な広告プランニングをご提供します。中長期の広告運用に即したプラン設定を行い、分析・改善までしっかりサポートいたします。

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筆者紹介 muro

marketingX立ち上げ当初から関わり、運用型広告を中心に幅広い情報を発信しています。
Webマーケティング初心者でも分かりやすい・読みやすい記事の制作を心がけています。

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