AIでクリエイティブを自動生成できる?広告やマーケティングに生かすには?

インターネット広告

近年、AI技術の進歩により、クリエイティブなコンテンツの自動生成が可能になってきました。この技術を広告やマーケティングに活かすことで、より効果的なキャンペーンの実施が可能になるのではないかと注目されています。

本記事では、AIクリエイティブを実務に取り入れ、広告活動に活かしたいと考えている人のために、AIによるクリエイティブの現状と、その将来性について解説します。

AIによるクリエィティブ生成の現状

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クリエイティブとは、広告として製作されたコンテンツ、具体的には画像(グラフィック)やキャッチコピーなどをさします。

現在、実用化されているのは画像や音楽、文章、デザインの自動生成です。以前は、人間にしかなしえないと考えられていたクリエイティブが、AIによって全自動で生成できるようになりました。画像生成AIによる精緻な画像を見てわかるように、かなり実用的な能力を備えています。

AIによるクリエイティブ自動生成でできること

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AIは、どのようなクリエイティブを自動で生成できるのでしょうか。すでに可能となっているのがさまざまなパターンのバナー広告の生成です。現在稼働している自動生成の中には、1時間に最大10万枚という膨大な量のバナーを生み出し、広告が高いと予想される素材を絞り込むものも存在します。

広告制作においてAIの活用で実現すること

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広告制作の現場でAIを活用すると、どのようなことが実現するのでしょうか。3つのポイントについて解説します。

クリエイティブ制作にかかる時間やコストの短縮

AIがクリエイティブを自動生成すると時間やコストを大幅に短縮できます。たとえば、後ほど紹介する「ADVANCED CREATIVE MAKER」では1時間当たり10パターンのバナー広告を生成できます。これは、人間には不可能なスピードです。

より効果的なクリエイティブの作成

AIは自動的なクリエイティブ生成だけではなく、効果が高いクリエイティブも生成できます。サイバーエージェント社の「極予測AI」は、現在配信されている1位の広告とAIが作り出した広告の効果予測値を競わせ、1位の広告を上回ったクリエイティブのみ納品します。こうすることで、効果の高いクリエイティブを投入できます。

出典:サイバーエージェント(https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=24647

さまざまなパターンのクリエイティブを試しやすくなる

AIによる自動生成が可能となると、膨大な量のクリエイティブを短期間に生み出せるようになります。すると、いままでに比べて格段に多くのクリエイティブの比較検討が可能となります。

先ほど紹介した「極予測AI」のような仕組みがあれば、クリエイティブの生成から選別まで全ての作業を自動化することもできます。

GoogleでもAIによるクリエイティブの自動生成が可能

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Googleにも事前にアセット(広告文、見出し、画像など)を登録すると、さまざまなクリエイティブを自動で作成してくれる機能があります。できることは以下のとおりです。

  • スマート広告
  • アドバンスフォーマットオプション
  • 自動生成アセット
  • ダイナミック広告

アセットさえ入稿しておけば、上記の広告を自動で作成し、ランディングページとの照合や検索語句とのマッチングなどを行い、最適な広告文を作成してくれます。これらの作業は外部ツールが無くても可能です。

広告運用に役立つクリエイティブ自動生成AIツール

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現在、自動生成ツールは加速度的に進化しています。ここでは、広告運用に役立つ4つのツールを紹介します。

ADVANCED CREATIVE MAKER

1つ目は電通デジタルが提供するバナー広告生成ツール「ADVANCED CREATIVE MAKER」です。学習データは過去のクリエイティブバナー広告とCTR(クリック率)の実績値で、これらのデータを機械学習で解析し、バナーを自動で作成します。

注意点としては、過去に配信されたインターネット広告バナーの表現とクリック率実績を基に機械学習しているため最新トレンドを学習するのが苦手という点です。また、著作権などへの配慮が必要となります

Adobe Sensei

出典:https://www.adobe.com/sensei.html

2つ目はAdobeの「Adobe Sensei」です。学習データはAdobeが持つ過去の膨大なトランザクションデータです。Adobe Senseiは、Adobeのサービスに共通して使用されるAI技術とマシンラーニング(機械学習)をあわせた技術の総称です。

バナー広告の作成を例にとると、大まかなレイアウトと文章、写真をアセットとして読み込ませると、次々とクリエイティブを自動生成してくれます。最初のデータを入れる必要があるので完全自動ではありませんが、かなり実用的なデザインの作成もしてくれるので便利です。

また、Adobeは「Adobe Firefly」という画像生成とテキスト効果に焦点をあてたクリエイティブ生成モデルをリリースしました。アドビのストックやオープンライセンスコンテンツ、およびパブリックドメインコンテンツからの数十億の画像を使用して、高品質の画像とテキスト効果を生成します。

Adobe Firefly学習データには、Adobe Stock画像オープンライセンスの作品や著作権が期限切れになっているパブリックドメインコンテンツが使われています。Adobe Fireflyで生成されたコンテンツやAdobeのソフトで作成したコンテンツは学習に使用されません。

Adnator

出典:https://www.ad-nator.com/

3つ目のAdnatorは、株式会社ID Cruiseが提供するバナー広告自動作成ツールです。広告効果の高い「勝ちバナー」の作成をモットーとし、わずか3分で高品質のバナーが作成できるとしています。

元になる写真でデータを読み込ませるという点では他社と同じですが、アーリーアクセス期間中は無料で使用できます。今後は、外部プラットフォームとの連携やキャッチコピーの生成、デザイン選択の自動化、ユーザーの性格に合わせたクリエイティブの生成などを実装する予定です。

生成されたコンテンツはデータ分析等に利用される場合があります。バナー作成のためにアップした文章や画像の権利は自身に帰属するものの生成したコンテンツに対する権利は株式会社ID Cruiseに帰属します。

H-AI TD GENERATOR

出典:https://ctl-beat.com/solution/

4つ目はソウルドアウト株式会社が提供するH-AI TD GENERATORです。AIを含んだ広告成果支援プロダクトとされ、広告配信データからランディングページや検索キーワードも含めた大量の広告テキストを自動生成するサービスです。

膨大な量の広告文の作成・改善は人間の力だけでは困難です。そういったプロセスを自動化し、人間が思いつかなかったような新たな切り口などを探すときに便利です。ただし、機械学習には過去の広告配信データを利用するため、著作権などへの配慮が必要となります。

クリエイティブ自動生成AI活用時の注意点

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クリエイティブを自動生成してくれるAIツールは非常に便利です。しかし、情報の正確性や精度などには課題があるため、ノーチェックで広告を流してしまうのはかなりリスクがあります。チェックすべきポイントについてまとめます。

商用利用に関するルールの確認

個人での使用を前提としたAIツールも存在するので、作成したクリエイティブを商用利用できるのかどうか、事前に確認しなければなりません。また、利用する際にどの範囲まで利用可能なのかについても確認しておきましょう。

著作権にも注意が必要

AIクリエイティブがもとにするデータは過去に配信された広告や広告文が中心です。しかし、学習データを厳選していないAIの場合は、広告許諾が得られていない個人のアート作品なども元データに入れてしまう可能性があります。

その結果、自動生成されたクリエイティブが既存のデザインと酷似していたり、著作権に抵触する恐れがあるのです。こうした問題を避けたいがため、AIによる広告作成を忌避する広告主もいるので押さえておきましょう。

学習データの偏りに注意

AIによる自動生成の注意点として、もとになる学習データが偏っているため、バイアスが生じてしまうということがあります。

たとえば、学習データに特定の性別や年齢層の人々の画像や言葉が多く含まれている場合、生成されるクリエイティブがその特定の性別や年齢層に向けたものになってしまう可能性があります。AIの技術は発展途上であり、AIが生成する文章や画像の中には誤った解釈や誤認も含まれます。精度は飛躍的に向上しているとされますが、あいまいな部分が多いことも否定できません。

AIが集めてきた情報をうのみにせず、最終的には人間の目でしっかりと品質を担保し、商用広告として利用してもよいか、判断しなければなりません。

広告運用にクリエイティブ自動生成AIを有効活用しよう

著作権や情報の正確性など、クリアすべき課題は多々ありますが、AIクリエイティブが広告作成の負担を大きく軽減することは間違いありません。

AIにすべてをゆだねるというより、AIを自身の優秀なサポーターとして活用することで、自身のクリエイティブ作成活動の質を高める方向に活用するべきではないでしょうか。

著者(writer)
marketingX by goo 編集部

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