リードナーチャリングとは?代表的な手法と6つのプロセスを解説

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リードナーチャリングとは、獲得した見込み顧客の購入意欲を高めて、受注につなげたり顧客になってもらったりするためのマーケティング手法のことです。インターネットの普及により購買プロセスが長期化・複雑化した現代において、リードナーチャリングはより重要性を高めています。
そこで当記事では、リードナーチャリングの重要性や実施することによるメリット、具体的な手順や手法を詳しく解説します。

リードナーチャリングとは?

まずは、リードナーチャリングとはどのようなマーケティング手法を指すのかを確認しておきましょう。

リードナーチャリングとは「見込み顧客の育成」のこと

冒頭でも触れたように、リードナーチャリングとは見込み顧客を育成することです。見込み顧客とは自社のサービス・商品について比較的、関心がある顧客を指し、段階的なアプローチを行う事で購入意欲を高め、自社顧客(受注)へと育成していくことが重要になります。
具体的な見込み顧客の育成方法としては、メルマガやセミナー、Webコンテンツなどによって有益な情報を提供し、中長期的に商材への購買意欲を高めていきます。

リードナーチャリングが注目されている背景

リードナーチャリングが注目を集める背景としては、インターネットの普及にともなうユーザー行動の変化や、購入に至るまでのプロセスの長期化が挙げられます。
インターネットの普及によって、顧客の購買行動には「検索」や「比較」「検討」といったアクションが加わり、そのプロセスは長く複雑なものへと変化しました。
企業は見込み顧客を競合他社に奪われないよう、長期的かつ継続的に見込み顧客とコミュニケーションをとる必要があるのです。

リードナーチャリングとリードジェネレーションの違いとは?

リードナーチャリングと似た意味でとらえられがちな用語として「リードジェネレーション」がありますが、これらの用語には明確な違いがあります。
リードナーチャリングが見込み顧客の育成を指す一方、リードジェネレーションは見込み顧客を獲得するための施策を表す言葉です。リードジェネレーションを行い獲得した見込み顧客を育成するという意味で、リードナーチャリングという言葉が用いられます。

リードジェネレーションについては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

リードナーチャリングを行うメリット

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リードナーチャリングを行うことで、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。

競合他社に見込み顧客を取られるのを防げる

見込み顧客を育成せずに放置すると、その多くは競合他社に流出してしまう可能性が高いです。長期的かつ継続的に見込み顧客とコミュニケーションをとり、顧客のアクションや興味の度合いの変化とともに適切なアプローチをしていくことで、こうした機会損失を防ぐことができるでしょう。

休眠顧客を掘り起こせる

休眠顧客とは、過去に商談や契約まで至ったものの、今ではやりとりがない状態の顧客のことをいいます。休眠顧客はすでにある程度商材への理解があるため、的確にアプローチすれば受注につなげられて、自社顧客になってもらえる可能性が高いです。
リードナーチャリングによって、休眠顧客ともコミュニケーションを取り続けることが成果につながります。

リードナーチャリングを行う際の注意点

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ここでは、リードナーチャリングを行うにあたっての注意点を確認しておきましょう。

長期的な計画を立てて行う必要がある

ユーザーの購買プロセスが長期化しているため、リードナーチャリングにおいても長期的に見込み顧客とコミュニケーションをとり続けなければなりません。また、見込み顧客のニーズに合う、有益な情報を提供し続ける必要もあるでしょう。
購買に至るまで根気良く育成しなければならないため、成果が出るまである程度の期間を要することは踏まえて取り組むことが大切です。

工数がかかる

長期的な施策となるリードナーチャリングは工数がかかるため、人的リソースも求められるでしょう。
また、見込み顧客それぞれに行った施策データを一元管理するには多くのリソースが必要なため、マーケティングオートメーション(MA)などのツールの活用が推奨されています。このようなツールの導入費用も考慮すべきでしょう。

MAについては、以下の記事で紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

リードナーチャリングを行う6つのプロセス

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ここからは、リードナーチャリングを行うプロセスをまとめました。

1.まずは見込み顧客をMAツールなどで一元管理する

リードナーチャリングを行うにあたって、まずは自社内にあるすべての見込み顧客の情報を一元化する必要があります。
そこでおすすめなのが、顧客情報の一元管理から各種マーケティングの実施までを自動化できるMAツールの活用です。
MAツールを活用すれば、名刺やメールアドレス、個人名、企業名などの見込み顧客の情報を一元管理し、それぞれのステータスやステージを手軽に把握することができます。アプローチしたい顧客へ一斉に施策を行ったり、社内での顧客データの重複によるトラブルを防止したりといったことにも役立つでしょう。

MAツールについては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

2.リードをセグメント化する

MAツールにリード情報を取り込んだら、次にリードを属性や問い合わせ方法などの情報をもとにセグメントします。セグメントを行うことにより、アプローチ方法などの戦略立案をしやすくなるでしょう。

3.ステージの細分化を行う

リードのセグメントが完了したら、リードが商品・サービスを認知してから購入、自社の顧客化にいたるまでのステージの細分化を行ってください。これにより、顧客に対して適切なアプローチを行うことができるようになります。
ここでもMAツールを活用すれば、メルマガの開封やセミナーへの参加歴といった行動データをもとに、自動的に顧客をスコアリングすることができるでしょう。

4.具体的なゴール(KGI)、KPIを設定する

ステージを分けることで、各ステージの見込み顧客に対する適切なアプローチができるようになります。
ここでは、目標達成のための中間的な指標(KPI)と、最終目標となるKGIを設定しましょう。具体的な目標があることで施策の方向性が定まるためです。わかりやすく効果を知るためにも、KGIとKPIは定量的で計測できるものにしましょう。

5.カスタマージャーニーを明確にする

ステージの細分化を行ったら、カスタマージャーニーを作成し、各タッチポイントで適切な施策を設定します。
また、セグメント設計別の見込み顧客ごとにカスタマージャーニーを設定すれば、「認知」「検索」などのステージ別に変化する状況に応じた施策を打つこともできるようになるでしょう。

6.見込み顧客へアプローチするためのコンテンツを制作する

カスタマージャーニーを設定したら、購買に至るまでの各ステージにおけるタッチポイントで展開する、見込み顧客にとって有益なコンテンツを作成しましょう。
また、見込み顧客が想定通りに行動してくれないケースも考慮して、各種広告やSNSなども活用して顧客に訴求し、行動につなげる足掛かりを作ることも重要です。
施策を実施した後は、PDCAを回し、改善を図ることを繰り返していきます。

リードナーチャリングの手法を解説

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最後に、リードナーチャリングの代表的な手法を見ていきましょう。

メールマガジン

見込み顧客の興味に応じた内容のメールを届けることで、購買意欲を高めていきます。顧客のメールアドレスさえあれば配信できるため施策としてのハードルが低く、開封率やクリック率による効果測定もしやすい点が魅力です。
リードナーチャリングの手法として配信するメルマガは、大きく次の2種類に分けられます。

ステップメール

会員登録や資料請求などの決められたアクションを行った顧客に配信されます。顧客ごとに自動送信されるため、顧客は配信側が自分のことを理解してくれていると感じやすく、特別感も演出できます。

セグメントメール

顧客の属性を年齢や性別、住所、閲覧したページなどから絞り込み、対象となるターゲットにメールを配信する手法です。顧客の属性に合わせたメッセージやキャンペーンの案内などを届けることができます。

SNS投稿

多くのユーザーにとって身近な存在であるSNSは、企業と見込み顧客の気軽なコミュニケーションにも役立ちます。SNSでのコミュニケーションを通して、既存顧客との信頼関係の構築やブランディング、情報拡散などが期待できるでしょう。
ターゲットの属性を踏まえて、代表的なSNSであるTwitter、Instagram、Facebookなどから適切なものを選びましょう。

Webサイトの開設・更新

Webコンテンツで顧客に有益な情報を継続的に提供し、顧客を企業やブランドのファンとして育成していく手法です。良質な情報を届けることで顧客のファン化を促し、購買意欲の向上にもつなげていきます。
WebコンテンツはSEOを意識することで、既存顧客の育成だけでなく新規顧客の獲得も期待できます。しっかりと作り込んだWebサイトにすることで、見込み顧客の育成以外にもさまざまな効果が狙えるでしょう。

自社セミナー

特にBtoB向けのサービスに効果的な手法で、実際に見込み顧客を招待し、企業やブランドが提供する価値や知識を直接伝える場を設けます。この手法は対面でのコミュニケーションが可能なため、顧客と深い信頼関係を築きやすいです。
セミナーは、次のような種類に分けられます。

オンラインセミナー

インターネットを利用してリモートで開催するため、場所にとらわれず多くの人々に参加してもらえます。特定のテーマ性や問題解決に焦点を当てた内容で、参加者に具体的な価値を提供します。

対面セミナー

実際の会場で行われるセミナーで、製品デモンストレーションや質疑応答が可能です。こちらは、より個別のニーズに対応しやすく、強力なエンゲージメントを生むことが期待されます。

自社セミナーを活用することで、リードナーチャリングの他の手法と組み合わせることも可能です。
例えば、セミナー後に参加者に対してメールマガジンの登録を促したり、SNSでのフォローをお願いすることで、顧客とのコミュニケーションをより一層強化できます。

リードナーチャリングは長期的な施策を効率良く展開する必要がある

長期的かつ継続的に施策を展開する必要があるリードナーチャリングは、MAツールを活用して顧客情報を一元化するなど、業務の効率化によってその工程を簡略化することができます。コツコツとリードナーチャリングを実施すれば、休眠顧客の獲得など、見込み顧客の育成以外にも効果が期待できるでしょう。
まずは見込み顧客の情報を集約するところから、リードナーチャリングをスタートしてみてはいかがでしょうか。

著者(writer)
marketingX by goo 編集部

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