MAツールにおけるスコアリングとは?基礎知識と運用のポイントを解説!

データソリューション

スコアリングとは

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スコアリングは、昨今利用が増えているマーケティングオートメーションツール(以下、MAツール)の基本的な機能です。取引先や見込み顧客の属性や行動に対してスコアを付与し、顧客のステージや関心のある領域を数値化することを言います。

スコアリングすることで、自社サービス・製品への関心度やマッチ度を把握し、見込み顧客の検討状況の確認、顧客毎のステージに応じた適切なアプローチが可能となります。
この記事では、スコアリングの目的やメリット・デメリットといった基礎的な内容と、運用のポイントを解説いたします。

スコアリングの目的

スコアリングの目的は、マーケティング活動の最適化と営業活動の効率化です。
顧客の購買活動のオンライン比率が高まり、購買行動が長期化している昨今においては、顧客の検討状況に合わせたマーケティング施策を実施し、多数の顧客からアプローチすべき対象を適切に抽出することが重要になります。

アプローチすべき顧客の抽出

顧客が自社のターゲット要件(業種、企業規模等)を満たしているかを数値化し、自社とのマッチ度が高い企業を抽出したり、WEBサイト上での行動を評価し、自社サービス・製品への購買意欲が高まっている顧客を見つけ出したりします。

また、あらかじめ営業担当と連携するスコアの基準を定めておけば、営業担当は確度の高い見込み顧客へ優先してアプローチすることができるため、営業活動の効率化に繋がるでしょう。

見込み顧客への適切なアプローチの実施

MAツールのスコアリング機能を使ってWEBサイトへのアクセス頻度やメール配信への反応等といった顧客の行動を数値化し、見込み顧客の検討状況を正しく判定していきます。それにより、適切なタイミングでのアプローチが可能となり、マーケティング活動を最適化することができるのです。

スコアリングのメリット

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スコアリングを実施するメリットは以下の通りです。

  • 効果計測や分析がしやすくなる
  • アプローチ対象や施策の優先度が決めやすくなる
  • マーケティング部門と営業部門の連携

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

効果計測や分析がしやすくなる

顧客を数値化することで、施策の効果検証や分析ができるようになります。
お客様を評価すると言うとあまり聞こえがよくありませんが、マーケティング施策を最適化していくために数値化は必要不可欠です。

PDCAを回しスコアリングの精度が上がれば、より適切なアプローチが可能となるため、結果的にお客様にとってもプラスの作用をもたらすことができるでしょう。

アプローチ対象や施策の優先度が決めやすくなる

マーケティング施策を実施する際、施策案は多数考えたがどこから手を付けて良いか分からないといった悩みはよく聞かれるものです。また営業活動においては、顧客対応の優先度付けの基準が、属人的になりやすいといった課題もよくあることかと思います。 

そんな時に、スコアリングによって数値化されていれば、優先すべきマーケティング施策、優先して営業をかけるべき顧客を、客観的な軸をもって判断することができるのです。

マーケティング部門と営業部門の連携

マーケティング部門と営業部門との連携がスムーズになることも大きなメリットの1つです。連携ができていないと、それぞれの部門から同じ見込み顧客にアプローチをしたり、ニーズを読み違えてしまったりと、顧客から信頼を失うケースが考えられます。

スコアリングを導入すれば、マーケティング活動によって一定以上の検討度合いとなった見込み顧客が営業に引き渡されますので、営業活動の効率化、商談率の改善に繋がるでしょう。

スコアリングのデメリット

ここまでスコアリングの重要性やメリットについて解説してきましたが、
一方で以下にあげるようなデメリットがあることも事実です。

  • スコアによる評価と実績が合わない場合がある
  • 使いこなすにはトライ&エラーが必要

それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

スコアによる評価と実績が合わない場合がある

データに基づいてスコアリングの設計を行った場合でも、「スコアは高いのに商談に至らなかった/商品が購入されなかった」といったケースや、逆に「スコアは低いが、商談後契約に至った/商品が購入された」といったケースが起こり得ます。

なぜなら、見込み顧客の意思決定のフローといった内情は見えづらく、スコアに反映されない要素が関わっているからです。
そのため、実績との乖離が続く場合には、評価方法の見直しや営業部門との連携をより強化し、実態に合った判断ができるように、スコアリングとその扱い方を最適化していきましょう。

使いこなすにはトライ&エラーが必要

MAツールの運用においても重要なポイントとなるスコアリングですが、どの行動にどれくらいのスコアを付与するかといったルール設定には正解がないため、使いこなすのは難しいと言われています。ルール設計の精度が低い場合、誤った判断基準によってアプローチをしてしまう可能性があります。

運用の中でトライ&エラーを繰り返し、ルールの見直しアップデートを行い、自社サービス・製品、WEBサイトの構造等に合ったスコアルールを模索していきましょう。

スコアリングの導入方法

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スコアリングの概要やメリット・デメリット等についてご説明してきましたが、本章ではスコアリングの導入方法について説明いたします。

スコアリングのルールを策定する

まずスコアリングを導入するにあたって、見込み顧客の状況を数値化するため、属性や行動を評価する際のルール(基準)を決める必要があります。以下3つの切り口からスコアリングルールを策定すると良いでしょう。

  1. 顧客の属性
  2. 顧客の行動履歴
  3. 顧客の活性度合い

①顧客の属性について

例えば顧客が役職者であれば+7点、競合他社の製品を使用している場合+5点など、顧客企業の規模や担当者の役職・職種、競合他社の製品・サービスの使用状況について、加点のルールを決めていきます。

担当者が決裁権者であったり、一般的には製品についてのリテラシーが高い場合、成約の可能性が高くなる傾向があるため、左記のような方にはスコアが高くなるような設定をすることがポイントです。

②顧客の行動履歴について

展示会やウェビナーへの参加、配信しているメールの開封やメール内URLのクリック、HPの閲覧など、自社製品やサービスに関心を示すような行動に対して加点をするようにします。左記のような行動から、顧客が自社の製品・サービスに対しどの程度興味を持っているかを把握し、適切なアプローチを行っていくようにしましょう。

③顧客の活性度合いについて

顧客の行動がいつあったかで興味・関心の程度は異なります。例えば、1年前~数カ月前に頻繁に行動履歴があった顧客で最近行動がない場合、既に競合他社の製品を導入したか、導入自体を一度やめた可能性があります。

一方で最近、料金表の閲覧やカタログのダウンロードがあった場合、自社製品の購入を検討している可能性が高く、アプローチをする必要があります。

そのため、顧客の活性度合いに応じてスコアを付与していくこともスコアリングをするうえで重要なポイントになってきます。

上記3点を押えたうえで、スコアリングを導入するための残りのステップについて解説いたします。

スコアリング設計

前述した3点の切り口からスコアリングを設計していきます。①顧客の属性については、業種や企業規模等のリード情報から、自社のターゲット要件を満たす場合に高くスコアが付くよう設計します。②顧客の行動履歴及び③顧客の活性度合いについては、顧客の成約・受注に至るまでの行動を可視化したうえで設計する必要があります。自社の顧客がどのような行動をとって成約・受注に至ったのかを把握し、詳細な仮説を立てて、どの行動に高いスコアを付与するかを決定していきましょう。

ただし、マーケティング担当者だけでは最適なスコアリング設計を行うことは難しいため、実際に顧客と相対する営業担当者と協力して設計することが鍵となります。

営業担当者が何度も電話で対応して成約に至った、商談や対話の時間が長い顧客が成約に繋がりやすい等、定量的なものから、顧客が抱える課題感等の定性的なものも営業担当者と協力しスコア設計をしていくと良いでしょう。

営業担当者と連携することで、前述したスコア評価と実際の成約実績との乖離を減らしていくことができます。

もちろん、スコアリング設計においては、マーケティング担当者の知見も必要です。HPの閲覧履歴、メールの開封状況、ウェビナーへの参加、資料ダウンロード等の顧客の行動履歴について、成約に繋がった行動から各行動に対してスコアの重みづけを行い、設計をしていきましょう。

スコアリングの手法・ツール

ツールの選び方

スコアリングを行うMAツールですが、どのように選定していけば良いかわからない方もいらっしゃると思います。スコアリングだけに注目してMAツールを選ぶのではなく、自社で抱える課題感であったり、今後のデジタルマーケティング戦略に基づいて選定していくことが大切です。

MAツール選定等に関しては、以下の記事にまとめていますので、是非お時間のある時にお読みいただけると嬉しいです。  

スコアリングの運用ポイント

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「スコアリングの導入方法」で解説いたしましたが、スコアリングの導入段階では、正確なスコア付与が難しく、運用しながら改善していく必要があります。ここでは運用のポイントについて説明いたします。

データの収集と分析

成約に至った顧客の行動を可視化することが必要であることは既にお話いたしましたが、リード(見込み顧客)が可視化した行動をどの程度実施しているか、またその行動がどの程度成約に影響を与えているか、データを収集し分析することが大切です。

過去に成約に至った顧客と同じように行動するリードは、成約確度が高いといえます。スコアリング導入後、成約に至ったリードの取った行動はスコアリングの基準値になるため、必ず分析するようにしましょう。

分析後、どの行動がもっとも成約に繋がったのか、あるいは成約には寄与しなかったのかを確認し、スコア付与を適宜見直すようにしましょう。

チームでの連携方法

スコアリングで設定する得点基準や運用について、チームに適切に共有する必要があります。客観的な視点でチェックをしてもらうことで運用をスムーズに行えたり、改善点について気付きやすくなるためです。

営業担当者との連携がスコアリング設計で大切であることはお話ししましたが、近年は市場環境の変化が激しいため、最初に設定したスコアリングが現状に適さなくなってしまうことも起こりえます。

そのため、設定したスコアリング基準が正しく機能しているか、数カ月に1回チーム関係者で集まり、定期的に確認するようにしましょう。その場合、上記でお話ししたデータが非常に大切になってくるため、必ず分析を行うようにしましょう。

この時、営業担当者からのフィードバックも大変重要です。設定した仮説・スコアリング方法が適切であったかどうか、営業チームの意見も必ずもらうようにしましょう。

上記のようにPDCAを回しスコア設定を精緻化していくことが、スコアリングを運用していくうえで重要となってきます。

まとめ

今回、スコアリングについて解説していきましたがいかがでしたでしょうか。これまでスコアリングを実施したことがない企業においては、ハードルが高いと感じられたかもしれませんが、紹介した内容でまずは導入してみることが、効率的なマーケティング及び営業活動の土台となります。

自分たちだけで実施していくことが困難と感じられる方は、弊社でもスコアリング設計を含め、MAツールの導入・運用サポートやコンサルティングをしておりますので、まずはお気軽にお問い合わせいただけたらと思います。ご清覧ありがとうございました。

筆者紹介 むらちゃん
医薬品・医療機器の規制要件コンサル、教育コンサル、エステサロンのマーケティング等幅広い経験を経て、現在は弊社データソリューション本部に所属。
MAやデータを活用したデジタルマーケティングのコンサルティング業務に従事し、マーケターのスキルを高めるため日々格闘中。

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