マーケッターの基礎知識!『薬機法』に抵触しない広告表現とは

インターネット広告

「白髪を防ぐエキスで黒髪を守る」
「長年悩んできた顔のシミと3日でサヨナラ」
「免疫力UPのサプリでコロナに感染しない身体を」

クライアント側からいただいた資料にこのような説明があったり、競合他社の広告のキャッチコピーとして使われていたりしたら、あなたはどんな印象を受けるでしょうか。
「え!?なぜダメなの?」「よくある表現だから問題ないでしょう?」と感じた方には、このコラムが役に立つかもしれません。

今回はデジタルマーケティングに欠かせない知識であると同時に、日常生活でも使える、薬機法(医薬品医療機器等法)に関するルールやトピックスをご紹介していきます。

薬機法における広告とは?まず最初に押さえておきたい基本ルールについて

薬機法とは

薬機法(やっきほう、やくきほう、などと呼ばれています)とは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器等に関する製造・販売・広告などについて定められた法律です。
薬機法を管轄しているのは厚生労働省となります。

薬機法の規制対象となるのは、製薬メーカー・病院・薬局だけではありません。広告に対しては「何人も(誰もが)虚偽・誇大な記事を広告・記述・流布してはならない」と定められており、代理店・メディア・配信事業者・ライター・アフィリエイターなども当事者として処分を受けるおそれがあります。また、個人のネット販売についても同様です。

薬機法で規制される広告とは

まず広告規制において確認すべきことは、(薬機法上での)広告表示や表現にあたるかという点です。薬機法では広告の3要件が定義されており、該当すれば規制の対象となりますが、該当しなければ広告としての制約を受けることはありません。
当たり前のようですが、すべての情報提供が問題になるわけではないところがポイントです。

広告の3要件

  1. 顧客を誘引する意図が明確であること
  2. 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
  3. 一般人が認知できる状態であること

この3つをすべて満たした場合、薬機法上で「広告」として扱われます。
表示や表現が広告としてのものである以上は薬機法を守らなければならないのですが、特に「1.顧客を誘引する意図が明確であること」と「3.一般人が認知できる状態であること」について、補足していきたいと思います。

広告要件:顧客の誘引とは

作成者:医療系・健康系情報を専門とする雑誌社
内 容:便通効果があり痩身が期待できる成分の特集(複数社の商品写真をイメージで使用)
目 的:女性読者に雑誌購読をアピールするため

この雑誌記事は、薬機法における広告と見なされるでしょうか。

答えはノーです。新聞・雑誌等が独自に展開する(金銭などの対価を伴わない場合に限る)医療特集記事や専門書籍等は、薬機法上の広告ではないと考えられることが大半です。

広告要件の「顧客」とは情報提供の場となる記事や書籍の読者を指すのではなく、そこで紹介された医薬品や化粧品のユーザー(見込み顧客を含む)を想定したものです。

例えば「マイナス10㎏」「シミが消えた」「髪がフサフサに」などの表現も、記事や書籍(非広告)なら可能なのにネット広告で散見されるのには、広告3要件に該当しないケースとの混同が背景にあるのかもしれません。

日常でよく目にする表現だからと安易に使用する前に、広告に該当するか、商品はどのような性質のものか、表示・表現したい内容に根拠はあるかなどの要素を整理した上で広告を作ることが、薬機法違反を防ぐ有効な手段のひとつと言えるでしょう。

広告要件:一般人とは

作成者:製薬会社の研究員
内 容:勤務する会社が開発した新薬に関する情報(薬品名称の記載あり)
目 的:医療機関で働く医師に認知してもらうため
体 裁:十数ページのリーフレット型

このリーフレットは、薬機法における広告と見なされるでしょうか。
答えはノーです。この場合の「医師」は「一般人」ではないと考えられています。

リーフレットをきっかけに、その新薬が医師の勤務先に納入される可能性もありますが、薬機法上の広告とは異なるという考え方が一般的です(使い方や相手などの条件が異なる場合などには、法的な解釈も異なりますので注意が必要です)。

広告要件:認知できる状態とは

作成者:化粧品メーカーの広報担当者
内 容:自社公式ブログ内で新商品の体験談(写真・商品名、美白効果のコメントあり)
目 的:既存ブランドのファンの方々に新商品を知ってもらうため

この公式ブログが広告と同等である、と見なされるのは想像できるかと思います。
では、以下のケースはどうでしょうか。

・店頭でのPOP表示(来店客だけ。表示場所に立ち止まらなければ認知できない)
・電話や訪問セールス(文字として残らない。接する相手だけが認知できる音声情報)
・個人ブログ、ツイッターやインスタグラムでの投稿(流動的、あまり認知されていない)

この答えはすべて、一般人が認知できる状態=「広告」と見なされる可能性があります。
文字ではなく音声や画像だけだからとか、新しい情報発信ツールや媒体など特殊な方法だからといって例外はなく、監視の目が向けられていることに変わりはありません。

実際に薬機法違反のおそれがあると指摘を受けるまでには(広告3要件以外にも)様々な条件や要因を伴いますが、抜け道を狙うリスクは高いと知っておくべきでしょう。

広告要件以前の注意点

最後に、フリマアプリやオークションサイト等での個人間の売買について補足します。
最近ではニュースでも話題となり、問題視されることが増えているようです。
「趣味レベルの頻度で利益もわずかだし」とか「本業はサラリーマンだから」という人でも薬機法の対象になることに変わりはありません。

物やサービスを売って利益を得る以上は商品説明に気をつけるのは当然ですが、製造や販売に関して許可や届出の必要があるジャンルを知らずに販売(転売)を行うことのないよう十分に注意しましょう。

あなたが携わる広告の依頼者や手掛けるサービスの関係者が個人の場合には特に、提供する対象に関する法規制を把握し、しっかりサポートしていくことを心掛けましょう。

この広告表現はOK?NG? 悩む前にまず商品の分類を!

医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品、健康食品といったジャンルの商材であれば、薬機法を避けては通れません。では、雑貨や一般食品だったらどうでしょうか。

雑貨や食品の製造・販売に関して薬機法の規制はありませんが、使用や摂取した場合の効果や効能を述べるなら薬機法の規制が適用される可能性が高いと覚えておきましょう。雑貨や食品だからどんな広告を出しても薬機法違反に該当しないのではなく、身体や健康に対する作用を訴求すれば(どんな商材であっても)法令違反のリスクがあり、実際に処分を受けている事業者も少なくありません。
まずはこの前提を知っていただいた上で、具体的な薬機法対策においては商品分類がポイントとなることをご説明したいと思います。

なぜ正しい分類が必要かというと、薬機法では同じ内容の表示や表現であっても商品によって違法とされたり、そもそも広告自体が禁じられていたり、販売方法が限定されていることがあるからです。商品分類に応じて定められているルールも多いため、広告に携わる場合には(製造工程を含め)商品を正しく理解しておきましょう。
次項からは、各ジャンル別に商品分類や対応ポイントをご紹介していきます。

医薬品:広告掲載やネット販売まで、分類次第で扱いが変わる

医薬品イメージ

医薬品の細分類と分類に応じて制限されている行為(販売や広告)についてご説明します。

医療用医薬品と一般用医薬品(OTC医薬品)の違い

医療用医薬品 …医師から処方せんを出してもらって入手する医薬品のこと
一般用(OTC)医薬品 …薬局やドラッグストアで購入できる医薬品のこと

医療用医薬品は一般消費者に広告を出すことが禁じられているため、テレビやネットなどで目にする医薬品広告はすべて一般用(OTC)医薬品に限られています。

一般用医薬品(OTC医薬品)内での違い

要指導医薬品 …薬剤師の説明を受けた対面販売が原則。ネット販売不可。
第一類医薬品 …薬剤師からの確認を要するものの、ネット販売可。
第二類医薬品 …第一類よりリスクの低い医薬品。ネット販売可。
第三類医薬品 …第二類よりリスクの低い医薬品。ネット販売可。

一般用医薬品(OTC医薬品)に関する広告の原則ルール

商品には承認を受けている効能や効果があります。風邪薬にも「熱を下げる」「鼻水を抑える」など特定の症状にだけ効果が認められているものもありますが、その場合、承認を受けた範囲を超えた(どんな風邪にも効くかのような)表現を避けなければなりません。
当たり前にも聞こえますが、魅力的な商品だと強調したり説明を省きすぎたりした結果、逸脱した表現になってしまうケースも少なくないようです。

また、医薬品という性質上、避けるべきとされている表現もあります。

  • 効果について誤解を招くおそれのあるもの(治癒効果の体験談などを含む)
  • 過剰なユーモア表現など品位に欠けるもの
  • 安さを強調するなど、安易な摂取や不必要な継続使用を助長するもの など。

詳しいルールについては、厚生労働省のサイト内に「医薬品等の広告規制について」というページがあり、関連制度などを含めて詳しく確認することができます。
業界団体(日本OTC医薬品協会など)による広告ガイドラインも発信されており、多くの実例と共に広告表現が解説されています。参考にできる資料としてお勧めです。

薬機法の適用外?注意が必要な(医)薬品とは

薬機法における医薬品とは、原則として「」と「動物」を対象としています。
例えば、犬や猫のノミ駆除薬は薬機法の規制を受ける医薬品です。
その一方、私たちが使う殺虫剤と同様の成分を持つ(農作物に使用する)農薬の場合、農薬取締法や農業取扱法の規制を受ける(農林水産省の管轄)薬品となります。
このように、いわゆる薬としての成分が含まれていても使用方法・目的によっては(法的に)扱い方が異なるケースもあると知っておくと役に立つかもしれません。

医療機器:身近な医療機器と、ヘルスケア雑貨の違いには注意

医療機器イメージ

医療機器とは

「医療機器」の定義は以下となります。

医療機器は、構造、使用方法、効果又は性能が明確に示されるものであって、
疾病の診断、治療、予防に使用されること」又は
身体の構造、機能に影響を及ぼすこと」のどちらかの目的に該当し、
政令で定めるものとなっています。
例えば疾病の予防に使用する目的の機器でも政令で定められていない場合(例:マスク等)は、「医療機器」に該当しません。

では、医療機器と聞いてイメージするのはどのようなものでしょうか。
ほんの一例ではありますが、以下のものは医療機器に該当します。

・人工呼吸器、手術針、X線画像診断機器など医療機関で使用されるもの
・家庭用マッサージ器、コンタクトレンズ、補聴器、血圧計など家庭で使用されるもの
・救急絆創膏や止血用の医療ガーゼ

医療ガーゼなどは「機器」という言葉にそぐわない印象もありますが医療機器となります。また単なる雑貨(雑品)のガーゼもありますので、広告での扱いには注意しましょう。
少々意外ですが、薬局・コンビニで買える普通のマスクは医療機器ではありません。

医療機器も機能や利用目的によってリスクが異なるため、品目ごとに細分類されています。分類と製造・販売・広告などのルールが連動していますので、医薬品と同様、製造者側からの情報を確認しながら広告内容を検討していきましょう。

医療機器の分類

高度管理医療機器(クラスⅣ)
 …患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れのあるもの(例:ペースメーカ、人工心臓弁 など)

高度管理医療機器(クラスⅢ)
 …不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの(例:透析器、人工呼吸器 など)

管理医療機器(クラスⅡ)
 …不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの(例:MRI装置、電子内視鏡、電子式血圧計、歯科用合金 など)

一般医療機器(クラスⅠ)
 …不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが極めて低いと考えられるもの(例:手術用メス・ピンセット、X線フィルム、機械式聴診器 など)

一般消費者に広告できる医家向け医療機器について

医療用医薬品の一般消費者向け広告は認められていませんが、医療機器にも「医師・歯科医師によって使用される(医家向け)医療機器の広告はできない」という原則があります。

「医家向け」「一般向け」とされていても、実際には一方だけ使用している品目ばかりではないこともあり、以下については「医家向け」であっても広告可能な医療機器となります。

体温計・血圧計・コンタクトレンズ、カラーコンタクトレンズ、老眼鏡・自動体外式除細動器(AED)・補聴器 など

これらの品目は一般的に「広告できる医家向け医療機器」として扱われていますが、上記以外はすべて広告禁止(広告したら薬機法違反)ではありません。クラスⅠレベルの医療機器であれば広告が可能な場合もありますので、判断に迷ったら最寄りの行政機関などに確認してみると良いかもしれません。

紛らわしい?! 医療機器とは異なる製品について

身体に影響を及ぼしたり疾病の治療・予防に使用するのが医療機器の定義であれば、幅広い商材が医療機器に該当することになりますが、実際にはそうではありません。
以下は、医療機器と非医療機器の違いがわかりやすい事例となります。

絆創膏
 …パッド部分に殺菌消毒薬が含まれており、殺菌消毒効果を有しているものは医薬品もしくは医薬部外品。それ以外の多くは医療機器です。

湿布、粘着シート
 …薬効により肩こりや腰痛、炎症の治癒を目的とした湿布は医薬品となりますが、熱や蒸気の温熱効果で不調の緩和を図る粘着シートの多くは医療機器です。

フィットネス機器、家庭用美顔器
 …一般的には雑貨・雑品であることが多く、医療機器承認を受けたものは少ないようです。

マスク
 …ドラッグストアやコンビニで買える一般的なマスクは、医療機器ではありません。医療従事者が使うN95マスクやサージカルマスクと呼ばれる特殊なマスクについても物理的に遮蔽する物であれば医療機器ではなく衛生(医療)雑貨扱いとなります。

既に販売されている商品の場合、どの分類に属しているかが分からなくても製造者側に確認すればすぐ解決しますが、一から商品企画に携わる場合などには注意が必要です。
医療機器や医薬品としての承認がなければ訴求できない効果や使用目的がありますので、薬機法違反とならないよう事前調査をした上で開発や販売を進めていきましょう。

尚、何らかの機器・器具において「血行促進」「血流改善」「活性化」「燃焼」「デトックス」「肩こり」「免疫力アップ」など身体への効果効能を示すことができるのは医療機器に限られています(突起物やてこの原理等、手動で指圧する器具など例外有)。医療機器ではない商材の説明文や広告文を考案する際には特に注意が必要となります。

医薬部外品:医薬品より作用は弱くても、承認を受けた効果がある強み

医薬部外品イメージ

医薬部外品とは厚生労働大臣から効果効能の承認を受けたものですが、医薬品と比べ人体に対する作用が穏やかで、副作用のリスクがないものとされています。

薬機法では、以下の目的のための製品と定義付けられています。

・吐きけ、その他の不快感、口臭、体臭の防止。
・あせも、ただれ等の防止。
・脱毛の防止。また、育毛や除毛。
・人や動物の衛生を保つための、ねずみ・はえ・蚊・のみ等の駆除又は防止。

医薬部外品の種類としては、以下のようなものがあります。

指定医薬部外品

元々医薬品として販売されていたが、2009年度の薬事法改正による規制緩和に伴い医薬部外品として売り出されるようになったもの。一部ビタミン剤など。

防除用医薬部外品

上記の薬機法で定義されている害獣・虫を駆除するための製品。
殺虫剤、殺鼠剤、虫除け剤など。

医薬部外品

2009年度の薬事法改正以前から、医薬部外品として販売されていた製品。
虫歯予防の歯磨き粉や制汗剤、薬用化粧品など。

たとえば薬用化粧水や薬用シャンプーなど、化粧品でありながら「薬用」と付いた製品は、一般化粧品と同様の扱いではなく、医薬部外品に分類されています。
医薬部外品は「口臭を防ぐ」「わきがを防ぐ」「制汗」「育毛」などそれぞれ効果効能が認められている範囲内での広告表現が認められています。ただし医薬品とは異なりますので、治療と同等の効果があるかのように誤認を与える表現は認められていません

医薬部外品の広告や企画に携わる場合には、どんな承認を受けた商品なのかをしっかり確認し、その範囲を超えない形で説明や表現がなされている必要があります。
なお薬用化粧品で可能な広告表現の範囲については、厚生労働省のホームページでも具体的な事例が紹介されているので、確認しておきましょう。

化粧品:効能効果は56種類!品目も広告表現も幅広くなる分、注意が必要

化粧品イメージ

化粧品と聞けば、いわゆるメイクアップ用品などをイメージすることが多いと思いますが、歯磨き粉やシャンプー、シェービングフォーム、入浴剤、ヘアカラー、ベビーオイルなど、さまざまなアイテムが化粧品として販売されています。
(同じアイテムでも「薬用」と呼ばれるものは、医薬部外品の扱いとなります)

化粧品の定義

薬機法における化粧品の定義は、「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの」とされています。

定義内の「作用」については、厚生労働省から56項目の効能効果として示されています。
※参照「化粧品の効能の範囲の改正について」

販売されている化粧品はすべて事前に効能効果についても届出がなされていますので、広告ではその効果効能について表現されていることが基本となります。仮に言い換えする場合でも、消費者に誤認されない範囲での表現となるよう注意が必要です。

薬機法の定義と56項目の効能効果に該当すれば薬機法上の化粧品として扱いますが、たとえ使用目的は一緒でも、医薬部外品や内服するものは化粧品とは扱いが異なります。
それぞれの商品が属するジャンルの規制を守るためにも、自分が取り扱うものはどの分類に属しているのかを正確に把握した上で検討していくことが重要です。

※表示や広告に関する参照資料/
 厚生労働省「医薬品等適正広告基準」
 日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン

健康食品:成長業界ゆえに、広告表現にも注目が集まる

健康食品イメージ

ECサイトと広告だけで何千万円も売り上げる健康食品が次々と誕生しています。
反面、虚偽の表示や、摂取・飲用効果を過剰(違法)にアピールするなどで行政指導を受けるケースも増え続けている実態があることも知っておきましょう。

基本的に、健康食品やサプリメントは単なる「食品」ですので、薬機法の規制対象とはされていません。とは言え、規制対象でないから違法行為が許されるわけではなく、医薬品や医療機器のように効能効果を表示すれば薬機法違反となることを忘れてはなりません。

また、薬機法ではありませんが、虚偽や誇大広告から消費者を守る「 景品表示法 」や「健康増進法」に抵触するような広告表現があれば、それも指導や処罰の対象となります。

つまり、健康食品やサプリメントのコンテンツを作成する場合には、厳しい制限の中で商品の魅力や有用性を表現し、他社商品との差別化を図らなければならないのです。

なお食品の中でも特定の条件をクリアしたものに限っては、個別ルールに則り、表現の幅も広げられています。たとえば以下ジャンルの商材がそれにあたります。

特定保健用食品(トクホ)・機能性表示食品

どちらも「おなかの調子を整えます」「血圧が高めの方に適しています」などのように 健康への有用性を述べることができます。
特定保健用食品(トクホ)なら、国から承認を受けた効果について訴求でき、機能性表示食品の場合には(国からの承認ではないため)企業の責任において届出済みの科学的根拠に基づいた効果の訴求が可能です。
どちらの商品も医薬品ではありませんので、病気の治療や予防ができるかのような表示や 広告をすることはできません。

栄養機能食品

消費者庁サイト内の「栄養機能食品について」のページで詳しく書かれていますが、ビタミンやミネラルなど、特定の栄養素が定められた範囲内で含まれている場合には、その機能について触れることができる制度であり分類の名称です。

例えば「ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です」のように決まった文言があり、大幅な言い換えや、有用性の追加表現は認められていないところが、トクホや機能性表示食品とは異なります。もちろん、病気についても触れられません。

上記以外の一般的な食品については、原則、身体への効果や影響について広告・表示することは認められていません。たとえば、ジュースにビタミンCが入っているのが事実だとしても「ビタミン入りだからお肌が喜びます!」などとは言えないということです。
事実として「ビタミンC入り」であると表示はできますが、それ以上の訴求がしたければ、トクホ、機能性表示食品、栄養機能食品などに分類されるよう相応の対応を行う必要があるのです。

薬機法と広告に関する最近のトピックス

課徴金制度(行政罰)の導入

2021年8月より、薬機法違反の抑止を目的に<課徴金制度>が施行されました。
医薬品、医療機器等を販売する上で、 虚偽・誇大広告といった違反行為を行っていた場合、その行為の期間中に売り上げた額の4.5%の課徴金が課せられるもので、景品表示法の課徴金制度の3%より厳しい基準となっています。

また、違反広告の停止や再発防止に必要な対応を命じられる<措置命令制度>も景品表示法違反と同様に導入されていますので、広告に携わる者はこれまで以上に薬機法を遵守した企画や表現を心掛けていきましょう。

課徴金制度についてはこちらの記事で詳しく解説しています

新型コロナウイルスに対する訴求の難しさとリスク

新型コロナの感染拡大以降、その状況を利用しようとする事業者が増えているようです。「新型コロナウイルスに有効」などと訴求し、行政処分を受けた広告も開示されました。

正式に承認された医薬品や医療機器ではないにも関わらず、新型コロナウイルスやインフルエンザなど具体的な疾病名やウイルス名を挙げて効果や機能を述べることは、薬機法違反となるリスクが高い行為です(※厚生労働省から個別承認を受けていれば問題ありませんが、2021年1月現在、一般消費者に広告できるOTC医薬品で新型コロナウイルスに対する効果が認められた商品は存在しません)。

誤解されることも多いのですが、「効く」「予防」「治る」のように直接的な表現を使わなければ大丈夫だろうという考えは間違いです。「新型コロナウイルスから身を守る」「インフルエンザ対策」「ノロウイルスを不活性化」などと遠回しに表現することも、それらの疾病に対して何らかの効果があると言っているのと同等です。
また新型コロナウイルスやインフルエンザなどの名称には触れず「免疫力を高めて闘う」「新陳代謝を促進して健康に」などと身体機能の増強をアピールする場合も、安易に用いることは避けるべきでしょう。

※OTC医薬品や特定保健用食品、機能性表示食品の中には免疫力や新陳代謝の効果を有する(認められた)ものがあります。それらの商品に限り、認められた範囲内で表現することは可能ですが、「健康に良い」と訴求できる程度の商品が「健康を守れば免疫力の維持にもつながる」などのように拡大解釈し、消費者に誤認を与える行為は認められていません。

最後に

健康への意識の高まりと共に市場が拡大していることや、暮らしに欠かせない商材であることを考えれば、薬機法の知識が役に立つ機会は今後ますます増えていくことでしょう。
何も知らずに広告やマーケティングに携わり「競合も同じ」「よくある表現だから」などと安易な企画や表現を考え、世に送り出してしまうのは危険なことです。冒頭でも書きましたが、薬機法の行政処分の対象は「何人も(誰でも)」であることを忘れてはなりません。

広告実務では景表法だけでなく薬機法においても様々な制約を受けることになりますが、それをマイナスにとらえるだけでなく、新たな表現や訴求を考え消費者の心をつかむチャンスだと考えてみてはいかがでしょうか。商品やサービスの知られざる魅力を創り出す喜びや仕事のやりがいは、薬機法というハードルの先にあるかもしれません。

関連記事一覧