GA4で直帰率が計測できなくなった!?「エンゲージメント」関連指標と直帰率の関係は?

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話題のGA4を導入したけど直帰率の指標がどこにもない…
これまで多くの分析で利用されていた「直帰率」が突然使えなくなり、ランディングページに対するユーザーの評価を把握しづらくなったと感じている方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、実は直帰率が新たな名称でGA4にも存在しているのはご存じでしょうか。
その名も「エンゲージメント」です。
そこで、今回は、これまで直帰率を使って読み解いていたユーザーの行動を、GA4で新たに出てきた「エンゲージメント」関連の指標で読み解くにはどうすればよいのかをご説明いたします。

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直帰率の果たしてきた役割

直帰率は、サイトに対する「ユーザーの満足度」を知るための重要な指標と位置付けられてきました。
コンバージョン数にも影響を与えるため「滞在時間」といった指標とあわせて定期的にウォッチされていた方も多いのではないでしょうか。
直帰率に目安となる数値はありませんが、多くのサイト管理者(分析者)は直帰率の変動をみながら、コンテンツの追加やサイト構成の変更といった施策を行ってきたはずです。

なぜGA4では直帰率がなくなったか?

では、重要な指標であるにもかかわらず、なぜGA4では「直帰率」がなくなってしまったのでしょうか?
それはGAがWEBサイトだけでなくアプリや動画の分析も行える解析ツールへと変貌したからです。
以下の記事でも触れておりますが、近年消費者の行動がWEBサイトからアプリ・動画へと大きくシフトしています。そのため、GAでもこれまでのWEBサイト中心の分析から、アプリや動画を含めた複合的な分析が求められるようになりました。

しかし、既存の考え方では、WEBサイト・アプリ・動画それぞれで重要視する指標が異なり、同一の管理画面で全体を俯瞰して分析することが難しい現状がありました。
この問題を解決するには指標を統一する必要があり、そのため、「直帰率」といったWEBページのみに特化した「ページ」ベースの指標から、共通して使えるようユーザーのアクション(イベント)を数値化した指標が採用されました。その一つが「エンゲージメント」です。

Google Analyticsの種類分析対象分析の軸分析例:
これまでのGA
(ユニバーサルアナリティクス)
WEBページ※ページ
→ 直帰率、滞在時間etc..
・トップ”ページ”の直帰率が○○%、
・問い合わせ”ページ”の滞在時間が○○秒
Google アナリティクス 4WEBページ、アプリ、動画ユーザーのアクション(イベント)
→ エンゲージメント、エンゲージメント率 etc…
・WEBページのエンゲージメントは○○秒
・アプリのエンゲージメントは○○秒
・動画のエンゲージメントは○○秒

※ユニバーサルアナリティクスでも別のプロパティ(別の管理画面)でアプリ分析を行うこともできます。

「エンゲージメント」とは?

この新たに登場した「エンゲージメント」ですが、公式ページではこのように定義されています。

エンゲージメント: 定義
サイトやアプリに対するユーザーの操作です。

引用元:アナリティクス ヘルプ「エンゲージメント: 定義」

随分ふわっとしていますね。分かるような分からないような…。
公式ページには、続けてこのような例も書かれています。

コンテンツ配信者の場合は、ページを下方向にゆっくりスクロールするといった操作がエンゲージメントになります。ユーザーが記事の長さを確認するためではなく、内容を読むためにスクロールしていることを示すエンゲージメントです。
e コマースサイトの場合は、商品の詳細ページを閲覧する、特定のページに一定時間留まるといった操作がエンゲージメントになります。
オンライン バンキング アプリの場合は、口座の残高確認などです。
大学のサイトの場合は、情報動画の視聴などがエンゲージメントになります。

引用元:アナリティクス ヘルプ「エンゲージメント: 定義」

例のみの記載しかなく、「エンゲージメント」の計測に関してGA4上で設定できる箇所もなさそうなので、「エンゲージメント」の判定はGA4内に閉じられたルールに従って行われているようですね。
これは筆者の推測ですが、おそらく、「page_view」や「scroll」、「view_item」等のあらかじめ準備されたイベントの発生時間や経過時間を使って、エンゲージメントを判定しているのではないでしょうか。
判定の仕方については明確ではありませんが、「エンゲージメント」が「有益なユーザーのアクション」であることは確かなようです。

エンゲージメント関連の指標

さて、エンゲージメントについて少し理解できたところで、次は具体的な指標について見ていきます。
エンゲージメントに関する指標にはどんなものがあるのでしょうか?
以下に、「データ探索」で指定できる指標のうち「エンゲージ」を含むものをピックアップしてみました。

指標説明
ユーザーエンゲージメントサイトまたはアプリがユーザーのデバイスのフォアグラウンドで動作している時間の合計(秒)
エンゲージのあったセッション数10秒を超えて継続したセッション、
コンバージョンイベントが発生したセッション、
または2回以上のスクリーンビューもしくはページビューが発生したセッションの数
エンゲージメント率エンゲージのあったセッションの割合(エンゲージのあったセッション数 / セッション数)
セッションあたりの平均エンゲージメント時間セッション当たりのユーザーエンゲージメント時間の平均

これを見ると、エンゲージメントに関連する指標には、「時間」と「セッション」という2つの視点があることがわかります。
「ユーザーエンゲージメント」の「フォアグラウンドで動作している時間」は少し曖昧な説明になっていますね。これは、前述したように「エンゲージメント」をGA4が判定する仕組みと密接に関わっているからでしょう。
それに対し、「エンゲージのあったセッション数」は非常に明確です。さらに、「コンバージョンイベント」というカスタマイズ可能な要素が入っているため、「コンバージョンイベント」の設定次第でユーザーの行動をいろいろと分析することができそうですね。

エンゲージメント率と直帰率の関係

ところで、これらのエンゲージメント関連の指標を見ることで、直帰率から読み取ることができたユーザーの行動は見ることができるのでしょうか?
「エンゲージのあったセッション数」と「直帰率」が全セッションに対してどんな位置づけになっているのか、図にまとめてみました。
前述の「エンゲージのあったセッション数」の定義によると、色のついている部分をすべて合わせた赤枠の内側が「エンゲージのあったセッション」、赤枠の外側が「エンゲージのなかったセッション」となりますね。
「エンゲージメント率」は「赤枠内のセッション数の割合」ということができます。

google_analytics4_bounce_rate_relationship_engagement_rate

「直帰したセッション」は、このような図にするとどうなるでしょう?黄色の「2回以上のPVが発生したセッション」以外の、緑の斜線部分が「直帰したセッション」にあたります。
「直帰率」は「緑の斜線部分のセッション数の割合」ということになりますね。

google_analytics4_bounce_rate_relationship_bounce_rate

つまり、直帰率そのものではないですが、直帰率に近いものは、「1 – エンゲージメント率」で見られるということですね。

エンゲージメント率から見えてくるもの

ここで、冒頭で記載した「直帰率の果たしてきた役割」について思い出してみましょう。
直帰率は、その数値だけでユーザーの満足度を判断するのは難しく、「滞在時間」や「コンバージョン率」を併せて考える必要がありました。
このことを念頭に置きながら、もう一度エンゲージのあったセッション数の図を見てみると、「エンゲージのあったセッション」には、すでに「滞在時間」や「コンバージョン率」という要素が含まれていることが分かります。
つまり、これまで「直帰率+α」から読み解いていたユーザーの行動が、GA4では「エンゲージメント率」を見ることで把握できるようになった、ということです。

google_analytics4_bounce_rate_relationship_session

この記事では、GA4で新たに出てきた「エンゲージメント」について、「直帰率」との関係に着目しながら見てきました。

複数の要素が含まれていて、少し捉えどころのない「エンゲージメント」ですが、この指標を活用すれば、これまで複数の指標を使って判断していたユーザーの行動が一目でわかるようになったのです。

そして、「エンゲージメント」はGA4の狙いであるWEBサイト、アプリ、動画すべてを俯瞰した分析を可能とする指標なので、うまく活用できれば、ユーザーとの接点全体を見渡して最適な施策を実施していくこともできそうですね。


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Google Analytics 4(GA4)については、以下の記事に紹介しているのでぜひこちらも参考にしてみて下さい。

筆者紹介 くのいちM
広告関連システムの開発、運用に10年余り携わってきました。
python,javascript等の開発経験を生かして、GA4やGCPを連携させたデータエンジニアリングに取り組んでいます。
晩酌とガーデニングが大好き。

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