LTV向上に必要な4つのポイントやコツ、計算方法を解説

データソリューション

一般的に新規顧客獲得には既存顧客の維持よりも大きなコストがかかるため、既存顧客との関係を重視する企業が増加しています。そこで注目されているのがLTVです。

本記事では、企業利益の安定化につながりやすいLTVの定義から向上させるポイント、LTVが重要な理由、LTV分析の注意点などについて説明していきます。LTVについて知りたい方は参考にしてください。

LTVとは

LTVはLife Time Valueの略語で「顧客生涯価値」を意味します。顧客が自社の商品やサービスを購入して契約が終了するまでに、顧客から得られる総利益のことを指します。

1度だけの取引だけでなく、継続的に商品やサービスを購入してもらえるように工夫することでLTVを向上させることができます。

LTVが重要な理由

長期的な収益の指標であるLTVが企業にとって重要な理由は、収益の最大化を目指せることにあります。既存顧客の維持コストに比べ、新規顧客獲得にかかるコストは5倍といわれています。

マーケティング用語としては「1:5の法則」と呼ばれており、既存顧客にリピート購入してもらうコストを1とすると、商品について何も知らない新規顧客に購入してもらうコストは5かかるという考えになります。

ネット通販等の普及により流通が高速化し、競合他社の類似商品やサービスが増えている世の中で新規獲得をすることは労力やコストがかかります。

そのため、既存顧客との関係性を築き、継続購入やアップセル・クロスセルを行う方が、効率よく収益を上げることにつながります。

よって、既存顧客のLTVを向上させる方がコストを抑えながら収益の増加を目指すことができるのです。

参考:1:5の法則/5:25の法則

LTVの計算方法

LTVの計算方法には様々なものがあり、商材の性質によって計算方法は異なります。

今回は、顧客の平均値でLTVを割り出す計算方法や新規顧客・既存顧客の管理コストを考慮した計算方法、1社の収益・利益を算出する計算方法について紹介します。

【顧客の平均値でLTVを割り出す計算方法】

一般的には顧客の平均値を基にLTVを割り出す計算式が使われます。計算式は下記のとおりです。購買単価を上げるか、購買頻度を高めるか、契約期間を長くすることでLTVを高くすることができます。

LTV=平均購買単価×収益率×購買頻度×継続購買期間

【新規顧客・既存顧客の管理コストを考慮した計算方法】
新規顧客の獲得や既存顧客の維持に必要なコストを考えたLTVの計算式は下記のとおりです。

LTV=平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)

【1社の収益・利益を算出する計算方法】
1社の収益・利益を算出する計算方法は下記のとおりです。

1社の収益・利益=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数

LTV向上のメリット

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LTVを向上することで、営業コストの削減や安定した利益の確保、経営の健全化などさまざまなメリットがあります。こちらでは、LTV向上のメリットについて説明します。

営業コストの削減ができる

企業が利益を増やして成長を続けるためには新規顧客の獲得が欠かせません。

しかし、顧客ニーズが多様化し競合他社との差別化が難しい現代の市場において新規顧客の獲得に必要なコストは増加しています。

この状況下で、LTVを向上させ既存顧客と継続的な関係性を築いて利益を上げることは営業コストの削減につながります。

安定した利益の確保ができる

市場が成長している時期には新規顧客獲得にかかるコストはそれほどかかりませんが、市場が成熟してくると新規顧客の獲得は難しくなります。

安定的な利益を確保するためには、獲得の難しい新規顧客獲得に力を入れるよりも、既存顧客と密にコミュニケーションをとり信頼や信用を深めていくことが重要です。

既存顧客に対して継続期間の延長や購買頻度の増加、購買単価アップなどのアプローチをすることで安定した利益の確保につながります。

顧客の傾向分析ができる

顧客の購買頻度や購買時期、継続期間などを分析することで、LTVの高い顧客の傾向を把握することができます。

LTVの高い顧客は、企業に利益をもたらす質の高い顧客であり、既存の優良顧客の傾向を知ることで、優良顧客になりそうな新規見込み顧客の獲得に役立てることができます。

効率よく収益を上げるためには、コストや時間を削減しつつ、いかに優良顧客を抱え込めるかが重要になります。

経営の健全化につながる

新規顧客の獲得にかかるコストは非常に高く、LTVが新規顧客獲得コストを上回らなければ赤字となってしまいます。新規顧客獲得は大事ですが、そこに集中しすぎるとコストも時間もかかりすぎてしまいます。

経営の健全化を進めるためには、既存顧客のリピート率を上げたり、購買金額アップにつなげたりする取り組みが必要です。

既存顧客のLTVを向上することで、新規顧客の売り上げや収益に依存せずに健全な経営を目指すことができるのです。

顧客との関係性を構築できる

LTVが高い状態であることは、既存顧客と良好な関係性を築いていることを表します。既存顧客の満足度を上げることで、商品やサービスの継続購入やより高価な商品の購入につながります。

顧客の悩みや課題解決のサポートをした上で、適切なタイミングを計り商品やサービスの営業を行うなど、既存顧客と密にコミュニケーションを取ることで信頼関係を構築していくことが大切です。

LTV向上に必要な4つのポイント

LTVを向上させるためには、計算式で必要な要素になる購買単価や購買頻度、契約継続期間を高める必要があります。

また、LTVを向上できても既存顧客との関係性を維持するためのコストや新規顧客獲得に必要なコストが大きくなると利益を増やすことができません。

こちらでは、新規顧客獲得や既存顧客維持コストを抑えながら、LTVを向上させるポイントについて説明します。

購買単価をあげる

顧客の購買単価を上げることで、LTVを向上させることができます。購買単価を上げるために、アップセルやクロスセルという販売手法が使われます。

アップセルはワンランク上の商品やサービスを薦めることで、クロスセルは関連商品とセット販売をする方法です。

アップセルとクロスセルも購買単価を上げるために効果的な方法ですが、ユーザーが望んでいないものをセールスしてしまうと顧客の信頼を失ってしまうので注意が必要です。

いったん失った信頼は取り戻すことが難しいため、顧客とのコミュニケーションをしっかりと行い、顧客が本当に望むものをくみ取って商品やサービスの提案をすることが大切です。

購買頻度を上げる

同じ商品でも、購入頻度を増やし購入の回数が増えることでLTVの向上になります。購入頻度を増やすためには、顧客との接触機会を増やして商品やサービスを印象付け、適切な時期に訴求することが効果的です。具体的には、定期購入やリピート化を促すステップメールの活用などが挙げられます。

商品やサービスを定期的に思い出してもらうためには、プッシュ型のコミュニケーションも効果的です。既存顧客に購入頻度を上げてもらうアプローチをするのは、顧客が商品やサービスを信頼し、エンゲージメントが高まった段階が望ましいでしょう。

反対に、顧客から信頼されておらず必要性も感じていない段階でアプローチしてしまうと、顧客の離脱につながることがあるため注意しましょう。

購入期間を延ばす

長期に渡って購入し続けてもらうためには、継続的に購入するような商品やサービスである必要があります。

例えば、日用品や消耗品などは長い間リピートしやすい商品です。また、サブスクリプション型サービスでは顧客の課題を把握して解決するためのサポートをすることで顧客満足度を上げ、結果として契約期間を延ばすことができます。

顧客との関係性を築くことで購入期間や契約期間を延ばすことができ、新たな商品の購入にもつながる可能性があります。

また、顧客の解約を防止するためには、データ分析をして解約率を下げる施策を考えることが重要です。データ分析ではBIツールなどを使用し、効果的な施策を立てて実行していきましょう。

既存顧客を維持するコストを下げる

既存顧客の購買単価や購買頻度を上げて継続利用率を改善しても、これらの施策にかかるコストが高くなってしまうと利益幅は大きくなりません。施策のオペレーションを効率化して、コストや時間の削減をすることで企業の利益を増加させることができます。

具体的には、CRMやMAなどのデジタルツールを活用することで、人件費を削減しつつ、適切な営業活動やマーケティング活動を自動化することが可能です。

【ビジネスモデル別】LTV向上のコツ

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ビジネスモデルによって、LTVを向上するためのコツは異なります。こちらでは、ストック型ビジネスとフロー型ビジネスのLTV向上のコツについて説明します。

ストック型ビジネスのLTV向上のコツ

定額サービスを提供することで継続的な収益が入るようなビジネスモデルが、ストック型ビジネスです。顧客が解約しない限り、継続的に収益が入る点が特徴です。

ストック型ビジネスの例として近年増加しているのが、動画配信サービスなどのサブスクリプションサービスです。

サブスクリプションサービスは、一定の料金を支払うことで一定期間サービスを利用できるもので、安定的な収益を期待できるビジネスモデルです。

ストック型ビジネスでは新規顧客を増やしながら、既存顧客の継続率を上げることや高額なプランに変更してもらうことが必要です。

継続率を上げるためには商品やサービスの情報提供や利用促進をし、定期的なコミュニケーションを行いましょう。また、高額なプランに変更してもらうために、既存顧客の満足度を上げることも大切です。

フロー型ビジネスのLTV向上のコツ

フロー型ビジネスは商品やサービスを販売することで売り上げや収益が上がる、売り切り型ビジネスモデルです。必要な時に契約を結び、サービスを提供したり、仕事を請け負ったりすることが特徴です。

フロー型ビジネスはストック型ビジネスと異なり、継続的な売上が確約されないため、常に新規顧客の獲得や、商品や企業のブランディングが必要になります。

フロー型ビジネスの具体例としては、スーパーやコンビニ、家電量販店、士業などの単発契約などがあります。

フロー型ビジネスのLTVを向上させるには、顧客の見極めをすることやポイント制度・会員ランク導入、セミストック型の導入等が挙げられます。

BtoBの場合は購買率や購買頻度などLTVに必要な数値を流入経路ごとに計測して、LTVが高くなると予測される顧客へのアプローチやコミュニケーションを増やすことが重要です。

売り切り型のフロー型ビジネスではアプローチをしないと顧客から忘れられてしまうので、定期的に顧客と接触する必要があります。

そのため、ポイントカードや会員ランクでの割引などを導入して、継続利用を促す工夫が必要です。

また、ストック型ビジネスをフロー型に組み込むセミストック型も有効です。

具体的な例として、プリペイドカードや回数券、商品券などがあり、一定額のカードへの入金や先に券を購入してもらうことで、売り上げを安定させたあとに商品やサービスを提供することが可能です。

LTV向上施策を行うときの注意点

LTV向上施策を行って効果を出すためには、定量・定性の両面を考慮した効果検証が必要です。また、予算内でLTV向上を最大にするために、コスト面も考慮した施策を行うようにしましょう。こちらでは、LTV向上施策を行うときの注意点について説明します。

継続的に効果の検証をする

LTVの向上を行うためには、例えば、カスタマーサポートの強化や一人ひとりの顧客にパーソナライズされたコンテンツの提供と言ったような顧客へのアプローチの改善とともに、継続的な効果の検証を行う必要があります。施策前後のデータを比較して、どのような変化があったのかを検証しますが、すぐには結果が出ない事も多いため、定期的に粘り強く検証を行いましょう。

新規顧客獲得にも力を入れる

これまでも述べてきた通り、LTV向上には、既存顧客の満足度を上げることに力を入れることが重要です。

しかし、既存顧客のLTV向上だけに注目をして、新規顧客獲得をおろそかにしていると売上が減ってしまう可能性もあります。

既存顧客の満足度を上げることは重要ですが、幅広い顧客を獲得してリスクを分散させておくことが必要です。

既存顧客のフォローをして利益を上げながらも、新規顧客獲得も行ってバランスのよいLTV向上を目指すようにしましょう。

費用対効果を考える

LTV向上のための施策を行うときには、費用対効果も考えましょう。既存顧客の満足度を上げることでLTVを向上することはできますが、もたらされる利益よりも費用の方が多くなってしまっては本末転倒です。

既存顧客への丁寧なサポートや適切なタイミングでの提案などは重要ですが、時間や費用をかけすぎないようにツールなどをうまく活用してLTV向上につなげましょう。

LTV分析での課題

LTV分析をすることは効果的にLTV施策を行っていくうえで非常に重要です。ただ、実際にLTVを実測して分析するためには、1〜3年の時間がかかるとされています。

そのため、LTVの実測を待っている間に競合他社に商品やサービスを真似されるという可能性もあります。

LTVのデータ分析を待っている間に何もしないのは機会損失を招くことになるので、分析作業と平行して様々な施策を試してみることが重要です。

また、LTVの算出をした上でレポート化をするためには工数と時間がかかります。多くのデータを扱い、データの統合や集計、レポート化をするためには部署を横断した取り組みが必要になることも多く、ミスも発生しやすくなります。

できるだけデジタルツールを使用して人的ミスを減らし、効率よくLTV分析ができる環境を整えることをおすすめします。

LTV向上に活用できるツール

LTV向上にはデータ分析が必要になり、大量のデータを管理する必要があります。LTV向上で活用できるCRMやMAなどのツールを使ってLTV改善に役立てましょう。こちらでは、CRMやMA、Web接客ツールについて説明します。

CRM

CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)は、顧客属性や購買データ、提案の内容などの情報を管理することができるツールです。

顧客と企業とのコミュニケーションを記録することができるので、顧客の情報を詳しく把握でき、適切なサポートが可能となります。

顧客の要望を満たすための提案を行い、適切なタイミングで商品やサービスをアピールすることができるれば、顧客満足度が向上し、LTVも上昇も見込めます。

特にサブスクリプションサービスにおいては、CRMで顧客の状況を管理することで顧客の解約を回避するのに役立ちます。

CRMについては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

MA

MA(マーケティングオートメーション)は、新規顧客の獲得や見込み顧客の育成などに必要なマーケティング活動をサポートするツールです。

マーケティング活動には、顧客管理やメール配信、見込み客の抽出などがあり、MAを活用することでこれらを自動化・効率化することが可能です。MAの具体的な機能には、メール配信機能、Webページ作成機能、アクセス解析、スコアリング機能などがあります。

自社サイトへの訪問履歴や資料ダウンロードなど、見込み顧客の行動を可視化できるので、顧客の状況に応じたアプローチを行い、成果につなげていきます。

CRMと連携することで、より効果的にLTV向上に役立てることができます。

MAツールについては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

Web接客ツール

Web接客ツールには営業・マーケティング用とカスタマーサポート用の2種類があります。営業・マーケティング用のWeb接客ツールは、顧客がWebサイトを閲覧している時に興味がありそうな商品をレコメンドする機能があります。

カスタマーサポート用のWeb接客ツールはチャットボットなどがあり、ユーザーの問い合わせにすぐに対応することができます。顧客にとって必要な情報やサポートを素早く提供できることで顧客の満足度が上がり、解約や離脱を防ぐことができます。

Web接客については、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

まとめ

LTVは顧客生涯価値と呼ばれるマーケティング指標です。商品やサービスを購入して契約が終了するまでに顧客から得られる総利益のことで、継続的に購入してもらうことでLTVを向上させることができます。

新規顧客を獲得するコストは既存顧客を維持するコストの5倍かかるといわれているため、既存顧客のLTVを向上させることで結果的に企業の安定的な収益につながります。

LTVの向上には、購買単価や購買頻度、契約継続期間を高める必要がありますが、コストをかけすぎないようにデジタルツールを活用することも大切です。

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著者(writer)
marketingX by goo 編集部

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