マーケティングオートメーション(MA)導入の為の社内稟議書の書き方

データソリューション

MA(マーケティングオートメーション)ツールは国内での活用の歴史が浅いため、導入に際しては経営層への説明が必要になることがよくあります。その際、導入のハードルとなるのは、活用イメージが伝わりにくいことです。つまり、自社のマーケティング活動における課題をどう解決するツールなのかが見えづらいのです。また、経営層にとっては、MAツールを導入することが、果たして収益向上に結び付くのかということも気になるでしょう。
ここでは、MAツール導入の社内決裁が経営層に承認される稟議書を書くためのポイントや、注意点について解説します。

MAツールについては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

MAツール導入の稟議書に盛り込むべき内容

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MAツール導入の承認を得るための稟議書には、下記の4つの内容を盛り込む必要があります。

  • 明確な導入目的
  • MAツール導入から運用までの計画
  • 導入したいMAツールの概要と選んだ理由
  • 投資額

まずは、MAツールの導入目的を明確にし、それに沿った導入から運用までの計画を策定します。その上で、導入したいMAツールの概要および選んだ理由を挙げ、投資額を算出して提示するという流れです。
では、それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

明確な導入目的

まず、何を解決するためにMAツールを導入するのかといった目的を明確にします。目的を明確化するには、自社の現状のマーケティング活動における、長所と短所を挙げることが大切です。短所となる課題がMAツールの導入によってクリアできることや、長所をさらに伸ばせるといった点を訴求するのがわかりやすいでしょう。
具体的にいえば、人員数などの社内リソースが不足しているという課題があれば、それをMAツールで補えるということです。

自社の掲げている目標達成までのプロセスを分解して考えると、さらに具体的な目的をリストアップできます。例えば、「売上の増加」をマーケティング活動の最終目的とし、それを達成するには「新規顧客の増加」が急務と考えたとします。新規顧客の増加のためには、お問い合わせやホワイトペーパーのダウンロードによる「リードの獲得」が最初に必要となります。そこから「イベント参加、セミナーによる育成」「メールマーケティングによる育成」を行い、「新規商談の獲得」といった流れを作ることが必要だと考えられるのです。

これらの各項目(施策)を現状で十分に行えているかを精査していくと、自社が抱える具体的な課題を抽出できます。例えば、新規商談数が少ないことが課題であれば、「見込み顧客の育成」を図ることが、MAツールの導入目的のひとつに設定できます。

MA導入前に必要なことについては、以下の記事でご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

MAツール導入から運用までの計画

目的を達成するために、MAツールを導入してから運用していくための計画を具体的に立てます。計画を立てる上では現実的なものになるよう、短期、中期、長期の3つの時間軸で計画を立てることが大切です。短期、中期、長期それぞれの計画で、稟議書に添えるべきポイントを見ていきましょう。

短期:導入から運用開始までの短期スケジュールを設計

MAツール導入後、運用を開始する前の準備として、自社で保有している各種データの洗い出しや連携を実行する必要があります。すでに営業支援ツールのSFAや顧客管理ツールのCRMを使っているのであれば、それらのツールとの連携、さらに自社で管理している名刺情報やセミナー参加者の情報などを紐付けていきます。こうした運用開始までにやるべき準備を、短期計画に盛り込むのです。

データの統合や連携にあまり長い時間をかけてしまうと、市場の状況が変わってしまう可能性があります。ひとまず連携できるデータを使って、小さくスタートする方法もあります。導入から本格運用開始までの準備期間は、1ヵ月程度で収められれば経営層にもアピールしやすいでしょう。
短期フェーズでは、MAツールの導入によって各データを連携させ、スモールスタートで取り組めるマーケティング施策の結果を目標として伝えることをおすすめします。

CRMについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

中期:運用開始後のマーケティング施策の実施

中期計画では、具体的なマーケティング施策を順次実施していくフェーズです。スムーズにMAツールの運用を開始できるよう、ツールを活用して実施したい施策の優先順位を設けておきます。施策は、MAツール導入の目的を達成するためのものです。
まず、どのような施策をいつ実施するのかを明らかにしておきましょう。

長期:運用体制の確立

MAツールを効果的に長期で運用していくためには、マーケティング部門だけでなく、営業など他部門との連携を強化することが求められます。MAツールでは購買意欲の高いホットリードを抽出して、その情報を営業に連携し、営業がリードにタイムリーにアプローチして商談を進めるといったことが可能です。
部門を横断して運用体制を確立するためには、どういった運用体制を構築するかという計画を立てておくことが必要です。こうした長期計画を立てることで、ツールを取り入れても使いこなせないのではという、経営陣の懸念を払拭することにもつながります。

MA運用時の課題については、以下の記事でもご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

導入したいMAツールの概要と選んだ理由

マーケティング活動の方法は、会社によって異なります。導入するMAツールは、その会社のニーズに合致した製品でなくてはなりません。
稟議書では、なぜそのMAツールが必要なのかという理由を示して理解を求めることが必要です。各ベンダーのMAツールの機能を紹介するだけでなく、自社の目的(ニーズ)にマッチした機能が備わっていることを具体的に挙げましょう。
また、MAツールの運用に際してのセキュリティやサポート体制のほか、システムの拡張性などについても説明しておくことをおすすめします。

MAツールについては、以下の記事でもご紹介しているので、ぜひこちらも参考にしてみて下さい。

投資額

稟議書に記載する投資額は、導入や運用にかかる費用に加えて、MAツール導入後の効果や期待される収益の目安も併せて伝え、費用対効果がわかるようにします。導入後の効果としては、多くのデータ入力作業が不要になり、人件費の削減にもつながることなどが挙げられるでしょう。
また、収益の目安は、施策での目標数値を算出することが重要です。

MAツール導入の稟議書で、説得力を増すためのポイント

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続いては、これまでにご紹介した内容を踏まえつつ、さらに説得力ある稟議書にするために押さえておきたいポイントをご紹介します。

MA活用の投資額について

MAツールの運用によって、投資に見合った効果が得られるというイメージを正しく伝えるには、MAツールの導入や運用コストだけではなく、それに付随して発生する費用についても忘れずに記載しましょう。MAツールの導入に伴って実施するデータ統合や連携のためのコスト、施策を実施するためのコストなどのことです。

例えば、リードのアフターフォロー活動のためにイベントを開催するなら、イベント開催の費用がかかります。概算であっても、必要なコストはすべて洗い出しておかないと、費用対効果の説得力を欠いてしまいますので注意が必要です。

導入後の具体的な目標を立てておく

MAツール導入後の効果測定ができるよう、KPIを設定しておきます。前年比の売上高や自社のWebサイトへの流入数のほか、受注件数などを「◯%アップさせる」といった数値目標を立てるのが一般的です。
ただし、MAツール導入後間もなくは、データ統合や連携に時間がかかりますので、短期、中期、長期のフェーズごとに数値の目標を立てるといいでしょう。

想定される経営層からの質問をつぶしておく

最後に、経営層から投げられる可能性の高い質問を挙げておきます。下記のような質問に対する回答を稟議書にあらかじめ盛り込んでおくことで、さらに説得力を増すことができるでしょう。

  • MAツールで何が解決できるのか?
  • 競合他社は何を使っているのか?
  • 本格稼働および成果が出るまでにかかる期間は?
  • 現在使用している、ほかのシステムとの連携は可能なのか?
  • 社内の体制的に使いこなせるのか?
  • セキュリティやサポートは万全か?

MAツール導入の目的を明確にし、導入から運用までの計画や選択した製品と自社のマーケティング活動との適合性について丁寧に記載すれば、大半の疑問を解消できるはずです。さらに、選んだツールの使いやすさ、ベンダーによるセキュリティおよびサポート体制が万全であることについても説明します。

目標の数値や他社の動向については、具体的な数字や製品名を挙げられると説得力が増します。ただし、長々と書くのは読んでもらえなくなるため、シンプルにわかりやすくまとめることを意識してください。

MAツール導入の稟議書は、運用体制までしっかり記載しよう

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現場のマーケティング活動に携わっていれば、MAツールの有用性について理解している人は多いはずです。しかし、経営層は別の見方をします。投資に見合う効果が得られるのか、どの程度のスパンでどのくらいの収益に結び付くのかという点について、合理的な説明を求めるのが一般的です。稟議書をスムーズに通すには、その答えをわかりやすく提示する必要があるでしょう。

また、MAツールを効果的に運用していく上では、デジタルマーケティングに関連した知識に加えて、MAというシステム自体に関する理解が不可欠です。このような場合は、デジタルマーケティング施策のプロに任せることもひとつの手です。
当社では、MAツールの選定・導入から施策策定・運用までの統合的な支援を行っています。MA活用についてコンサルタントに無料相談をご希望される方は、お気軽にお問い合わせください。また、「資料ダウンロード(グループ会社が運営する外部サイト”Sienca.jp”に遷移します。)」にてホワイトペーパーもご用意していますので、ぜひご活用ください。

著者(writer)
marketingX by goo 編集部

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